甲斐一条氏

甲斐一条氏の歴史

甲斐一条氏（かいいちじょうし）は、甲斐源氏に属し、武田氏の一族として知られています。彼らの歴史は平安時代から始まり、その後の鎌倉時代、そして戦国時代にかけて多くの変遷を経ていきました。

平安時代の発祥

平安時代後期、甲斐源氏の一族は甲府盆地に定住を始めました。武田信義の次男である一条忠頼は、甲斐国山梨郡一条郷（現在の山梨県甲府市）を拠点に、一条氏を名乗るようになります。忠頼は甲斐源氏の惣領としての地位を確立しましたが、元暦元年（1184年）には源頼朝による弾圧で命を落とすことになります。これにより、一時的に一条氏は断絶の危機に直面しました。

鎌倉時代の再興

一条氏の運命を変えたのは、頼朝の弾圧を逃れた武田信光の子・一条信長です。信長は忠頼の甥にあたりますが、彼によって一条氏は再興されます。信長は幕府に仕官し、甲斐では武田八幡宮に大般若経を寄進するなど、地域の信仰にも寄与しました。

信長の孫にあたる一条時信は甲斐守護として活躍し、忠頼が以前構えた一条小山には、時宗道場の一蓮寺が築かれました。時信には多くの子がいて、それぞれが武川衆などの支族を形成していきます。特に、一条常光を祖とする青木氏は柳沢氏や曲淵氏など、また、時次を祖とする折井氏は教来石氏などと系譜を築きました。

さらに、忠頼の次男である甘利行忠は巨摩郡に拠り甘利氏を称し、その子の上条頼安は甲斐上条氏の祖となります。

戦国時代の状況

戦国時代に入ると、武田信虎の九男である一条信龍が名跡を受け継ぎ、御一門衆としての地位を確立しました。信龍は上野（市川三郷町上野）を本拠地とし、甲府にも館を持つようになります。また、信龍は駿河地方の防衛を主に担当していました。

武田氏滅亡と一条氏の終焉

天正10年（1582年）3月、織田・徳川連合軍による甲州征伐が実施されました。この際、甲府は織田軍によって陥落し、3月10日には徳川勢が市川に到達しました。『甲斐国志』の記述によれば、上野城に籠城していた信龍は、長男の一条信就と共に市川で処刑されたと言われています。これにより、一条氏の直系は滅亡し、彼らの名跡は歴史の中に消えていきました。

結論

こうして、甲斐一条氏は平安時代から戦国時代にかけて、武田氏の一族として独自の歴史を刻んできましたが、最終的には激動の時代によってその歴史は幕を下ろしました。彼らの足跡は、甲斐の地に今なお残っています。

もう一度検索