武川衆

武川衆の概要と歴史

武川衆（むかわしゅう）は甲斐国に存在した辺境の武士団で、別名として武河衆、六河衆、六川衆なども知られています。その起源は鎌倉時代までさかのぼり、甲斐源氏の武田氏の支流である甲斐一条氏に連なる一族です。戦国時代には武田家の家臣として国境の防衛に関わる役割を果たしました。

武川衆の起源

中世の甲斐国では、特定の地域に根ざした「〜衆」という武士団が存在し、武川衆はその中でも特に知られる存在です。この武士団は、鎌倉時代に一条時信の子孫から分かれたとされており、甲斐一条氏は武田信義の嫡男・一条忠頼が創始者とされています。彼らは甲斐守護を務めており、武川筋との結びつきが強いです。

室町時代には、甲斐守護・武田信満が加担した上杉禅秀の乱を受けて武川衆は活動を続け、甲斐国内の争いにも関与しました。また、甲斐一条氏が創建した一蓮寺の過去帳には、武川衆の氏族の名前が記載されています。これにより、戦国時代における彼らの存在が明らかになっています。

戦国時代の武川衆

戦国時代になると、武川衆は武田家の家臣団に加わり、甲斐守護・武田信虎から武田信玄の時代にかけて、信濃への侵攻が重要な任務となりました。その地域の防衛を行う役割を果たし、教来石氏の出自である教来石信房（馬場信春）は武田信玄の命で馬場氏を継承し、譜代家老となるに至りました。

1567年には、武川衆が初めて「武川衆」の名称で言及された起請文が残されています。この文書には一族の名前も記載されており、戦国時代の武川衆の地位を示すものとなっています。天正3年（1575年）の長篠の戦いでは、武川衆の武士たちも戦闘に参加し、多くが戦死しています。

武田氏の滅亡とその後

武田氏が滅亡した天正10年（1582年）は、武川衆にとって大きな転機でした。特にこの年の6月に本能寺の変が起き、甲斐は徳川家康の領土となりました。武川衆は武田の遺臣を庇護する家康に仕官し、国境防衛の役目を引き続き担当しました。家康からの恩賞として、いくつかの武士が感状を受けており、天正壬午の乱においても活躍しました。

また、江戸時代には多くの武川衆の子孫が徳川家の旗本となり、甲府の勤番を務めるようになりました。特に柳沢吉保は武川衆の一族で、甲府藩主として重要な役割を果たしました。さらに、江戸時代には米倉氏がそれぞれの藩の藩主として取り立てられるなど、武川衆の影響力は持続しました。

研究と評価

戦後の武田氏研究において、村上直や佐藤八郎らが武川衆の歴史を掘り下げ、それに関連する文献が多く残されています。武川衆は地域武士団の典型例として、多くの研究者によってその活動が評価されています。彼らの役割は、単に武闘だけでなく、甲斐国の歴史において重要な位置を占めたことを証明するものです。

まとめ

武川衆の歴史は、甲斐国の発展と戦国時代の動乱の中で築かれてきました。彼らの存在は、武田家の支えとなりつつ、地域社会における影響を持ち続けました。江戸時代に入ると、武川衆はその末裔を通じて新たな役目を果たし、家康のもとでの安定した時代を迎えることとなります。

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