畠山義豊

畠山義豊（はたけやま よしとよ）

畠山義豊は、戦国時代初期にあたる室町時代末期の武将であり、河内国の守護大名でした。畠山氏の一派である総州家の当主として、その名を歴史に刻んでいます。父は応仁の乱で活躍した畠山義就、兄は早世した修羅、子に畠山義英がいます。

初めは基家（もといえ）と名乗っていましたが、後に父・義就から一字を受け、義豊と改名しました。次郎と通称され、弾正少弼の官位を有していました。

生涯

文明15年（1483年）、兄・修羅の急逝により、後継者として指名されました。文明17年（1485年）に元服し、延徳2年（1490年）には父・義就の死を受けて家督を相続しました。

義豊の時代は、畠山氏を取り巻く状況は非常に複雑でした。父の宿敵であった畠山政長（尾州家）が室町幕府で権勢を振るう中、義豊は明応2年（1493年）に、10代将軍・足利義材と政長を中心とする幕府軍から追討を受けます。しかし、義豊は事前に管領・細川政元と密約を結んでおり、政元によるクーデター（明応の政変）が発生。これにより、義材は捕らえられ、政長は自刃に追い込まれました。

この政変により、義豊は一時的に畠山家の家督と河内国の守護職を手中に収めます。しかし、政長の遺児・畠山尚順は紀伊国に逃れ、反撃の機会を窺っていました。その後、両者は小競り合いを繰り返すことになります。

明応6年（1497年）には、家臣である遊佐氏と誉田氏が内紛を起こし、同年9月には、これに乗じた尚順が紀伊国で兵を挙げました。同年10月には河内国の高屋城を奪われ、義豊は山城国へと逃亡を余儀なくされました。

同年11月には、大和国の国人である越智家栄・家令父子と古市澄胤が、尚順に呼応した筒井順賢・十市遠治らに敗北し没落。河内国と大和国を尚順に奪われ、義豊は窮地に立たされました。

河内国を失った後も、細川政元の支援を受けながら尚順と戦い続けましたが、劣勢を覆すことはできず、明応8年（1499年）1月30日、河内十七箇所において戦死しました。

義豊の死後、子の義英は落ち延びました。勢いに乗る尚順は、近江国へ進軍した足利義材や、南山城に駐屯した大和国人衆と連携し、政元を挟撃しようとしましたが、政元の反撃により各個撃破され、紀伊国へと敗走しました。義英は河内国に戻ることができましたが、尚順はその後も反乱を起こし、総州家と尾州家の対立はその後も続くことになります。

墓所

義豊の墓所は、現在の大阪府寝屋川市と枚方市の境界に築かれましたが、後に改葬され、寝屋川市の成田山大阪別院明王院に祀られています。

偏諱を与えた人物

基家時代
遊佐家盛
義豊時代

参考文献

大阪府史編集専門委員会 編『大阪府史第4巻 中世編 2』大阪府、1981年。
朝倉弘『大和武士』名著出版〈奈良県史11〉、1993年。
弓倉弘年『中世後期畿内近国守護の研究』清文堂出版、2006年。
福島克彦『畿内・近国の戦国合戦』吉川弘文館〈戦争の日本史11〉、2009年。

関連項目

野崎城
* 畿内・近国の戦国時代

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