痛悔機密

痛悔機密（つうかいきみつ）とは

正教会における機密の一つで、罪を犯した信徒が神との和解を果たすための重要な儀礼です。カトリック[[教会]]のゆるしの秘跡や聖公会の個人懺悔に相当します。

日本では「懺悔」という言葉はあまり使われず、「痛悔」または「痛悔機密」という言葉が一般的です。告解禮儀（告解礼儀）という名称もありますが、日常的にはあまり使われません。

痛悔機密（告解礼儀）の流れ

痛悔機密は、司祭が祈祷文を唱えることから始まります。司祭は、痛悔機密において神の恩寵が与えられるように祈り、信徒に対して告白すべき罪の概要を示します。また、信徒は痛悔する前に、他人の罪を赦し、和解する必要があることを説きます。これは説教ではなく、毎回同じ内容が祈祷文として唱えられます。

信徒は、十字架と福音経が置かれたアナロイの前に立ち、一人ずつ罪を告白します。司祭は告白を聞き、信徒の生活改善のための精神的な助言を与えます。最後に、司祭は痛悔者の頭にエピタラヒリを載せ、十字を描き、神の赦しと和解を祝福します。

痛悔の内容が他人に漏れないように、聖堂内では他の信徒が聖詠などを大きな声で誦経することが多いです。また、時課などの奉[[神礼]]と並行して行われることもあります。

スラヴ系の正教会では、領聖の前に痛悔機密を行う習慣がありますが、ギリシャ系の正教会にはそのような習慣はありません。痛悔は個別に行うのが基本ですが、集団で行われることもあります。

カトリック[[教会]]との違い

正教会の痛悔機密には、カトリック[[教会]]のような法的な「償い」の意味はありません。そのため、償いを指示するような助言や指導は行われません。また、カトリック[[教会]]の告解室のような密室で行われることはほとんどなく、多くの場合、聖堂内で行われます。

聖書の根拠

痛悔の根拠となる聖書の箇所として、以下のようなものが挙げられます。

サムエル記下12章: ダビデ王が、ウリヤの妻バテシバを奪った罪を預言者ナタンに告白し、赦しを請う場面。この時、ダビデが詠んだとされる第50聖詠は、痛悔機密の冒頭で詠まれます。
旧約聖書続編：マナセの祈り
マタイによる福音書18章18節、22節

その他

アルヴォ・ペルトは、痛悔のカノン全曲を作曲しています。
赦罪の主日は、痛悔を意識する重要な日です。

関連情報

祈り・機密（日本正教会公式サイト）
『誰でも知っておきたい正教会の諸習慣と常識』痛悔機密
痛悔機密・痛悔-聖書に基づいて（正教会側の視点による）

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