白い巨塔 (1990年のテレビドラマ)

1990年版『白い巨塔』：濃密な2話で描かれた権力と人間の業

1990年4月2日と3日、テレビ朝日系列にて放送された2時間ドラマ『白い巨塔』。山崎豊子の同名小説を原作とする本作は、1967年版以来となるテレビ朝日による映像化作品として注目を集めました。

濃縮されたストーリーと豪華キャスト

全2話という構成ながら、原作の魅力を余すことなく凝縮した脚本と演出が光る作品です。浪速大学医学部を舞台に、野心的な外科医・財前五郎（村上弘明）と、正義感の強い内科医・里見脩二（平田満）の対比が鮮やかに描かれています。財前の権力への執着、里見の人間としての葛藤、そして周囲の人々の思惑が複雑に絡み合い、視聴者を最後まで引き込む展開となっています。

主要キャスト

主人公である財前五郎を演じるのは村上弘明。彼の複雑な感情と野心を、繊細かつ力強く表現しています。対する里見脩二役には平田満。誠実さと葛藤を内包した人物像を好演しました。

この他にも、財前の愛人ケイ子役を池上季実子、里見の妻三知代役を石井めぐみ、財前の妻杏子役を高橋ひとみなど、実力派俳優陣が脇を固めています。さらに、東貞蔵教授役の二谷英明、鵜飼医学部長役の丹波哲郎といったベテラン俳優の重厚な演技も、作品全体のクオリティを高めています。その他にも、藤岡琢也、紺野美沙子、江藤潤、近藤洋介、斉藤洋介、そのまんま東、頭師孝雄、東野英心、立川三貴、中尾彬、下元勉、津村鷹志、小鹿番、坂本スミ子、高城淳一、小鹿みき、西川のりお、盛本真理子、庄司永建、新田昌玄、堤真一、石原良など、多くの実力派俳優が出演しています。

再放送とアクセス

本放送翌年の1991年には、テレビ朝日が関東ローカルで新春特別企画として再放送を実施しました。また、神奈川県横浜市の放送ライブラリーでも視聴可能です。これらの事実からも、本作がいかに高い評価を受けていたかが伺えます。

スタッフ

脚本は吉田剛、監督は池広一夫が担当。音楽は本多俊之、選曲は合田豊が手がけ、医事監修は岡田英彦、法律監修は鈴木俊光が行うなど、作品クオリティを高めるため多くのスタッフが関わっています。

作品としての意義

この1990年版『白い巨塔』は、原作の持つ重厚なテーマを、2話という限られた時間の中で見事に表現した傑作です。豪華キャスト、緻密な演出、そして原作への深い理解に基づいた脚本により、視聴者に大きな感動と余韻を与えました。医療界の闇、権力闘争、そして人間の業を描いた本作は、現代においても色褪せることのない普遍的なテーマを提示し続けています。

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