白川資訓

白川資訓：明治維新期を生き抜いた公家

白川資訓は、日本の公家、華族として幕末から明治にかけて活躍した人物です。山城国京都で、右近衛権中将・白川資敬王の長男として生まれ、旧名は資訓王でした。

若くしてキャリアを積み重ね、嘉永2年（1849年）に元服し昇殿を許されると、嘉永4年（1851年）には神祇伯に就任します。安政元年（1854年）の内裏焼失という危機においては、神鏡を奉遷した功績により孝明天皇から賞賛を受けました。その後も、侍従、右近衛権少将、右近衛権中将と順調に昇進し、朝廷内での地位を着実に固めていきます。

明治維新の動乱期には、神祇事務総督として重要な役割を担いました。神祇事務科の設置や、参与、神祇事務局補、議定、神祇事務局督など、次々と要職に就き、神道に関する行政に携わったことが分かります。明治2年（1869年）の神祇制度改革によって神祇伯が廃止された後は、神祇大副に就任。その後も神祇官出仕、神祇大掌典、大掌典などを歴任し、宮中祭祀の中枢を担い続けました。1873年（明治6年）に式部寮御用掛を免ぜられて退官するまで、長きに渡り朝廷に仕え続けました。

その功績が認められ、1884年（明治17年）には子爵を叙爵されました。また、1900年（明治33年）には従二位に叙せられています。

私生活では、三条西季知の五女・幾子を正室に迎えました。長男の資長は貴族院の子爵議員となり、家系の栄光を継承しました。長女の縫子は篠田宮之助と結婚しました。さらに、実弟の白川雅好を養子として迎えました。雅好は戊辰戦争当時、まだ嗣子でした。

白川資訓の生涯は、激動の時代における公家のあり方を示す貴重な事例となっています。神祇官での要職歴任、宮中祭祀への貢献、そして子爵への叙爵など、その功績は、現代においても高く評価されています。彼の活動は、幕末から明治にかけての政治・宗教史を研究する上で重要な資料となります。数々の文献から彼の足跡を辿り、その人生と時代背景を理解することで、近代日本の形成過程をより深く知ることができるでしょう。彼の活動を通して、明治維新期の朝廷と神道、そして日本の近代化への過程について、多角的な理解が深まることでしょう。

参考文献

『百官履歴』上巻、修史局編、日本史籍協会、1928年
『明治維新人名辞典』日本歴史学会編、吉川弘文館、1981年
『平成新修旧華族家系大成』上巻、霞会館編、吉川弘文館、1996年
『公家事典』橋本政宣編、吉川弘文館、2010年

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