白木みのる

白木みのる：個性派俳優、波瀾万丈の足跡

白木みのる（本名：柏木彰）は、1934年5月6日に島根県で生まれ、2020年12月16日に亡くなった日本の俳優、実業家です。愛称は「ベイビー」。小柄な体と甲高い声が特徴で、個性的なキャラクターを活かした演技で人気を集めました。

生い立ちと挫折

幼少期は父親の仕事の関係で満州と日本を往復する生活を送りました。3歳の頃に肝炎を患い、その影響で脳下垂体の機能が低下し、発育不全となりました。体格を活かして騎手を志すも、夢は叶いませんでした。

芸能界への道

絵画コンクールで入賞したことをきっかけに美術の道に進むことを決めましたが、絵の具代を稼ぐため、地元ののど自慢大会やラジオの素人参加番組で賞金を稼ぐことを思いつきます。そこで美声を認められ、地元の温泉街で流しとして活動を始めました。歌で身を立てることを決意し、中学卒業を待たずに歌謡劇団に入団。関西から九州を巡業するドサ回りの生活を送る中で、大阪のキャバレーでの代役出演をきっかけに、大阪劇場の専属歌手「ミサイル小僧」としてデビューしました。その後も「少年田端」「十勝一男」「十代一夫」「正司彰夫」など、芸名を様々に変えています。

吉本興業と人気絶頂期

23歳の時、吉本興業にスカウトされ、自ら考案した「白木みのる」という芸名で活動を開始。芸名の由来は本名の「柏」の字を分解し、「白木」とし、「何でも実らせる」という意味で「みのる」を付けたそうです。ミヤコ蝶々主演のテレビ番組『あっぱれ蝶助無茶修業』へのレギュラー出演を機に、ミヤコ蝶々の弟子となり、人気を博しました。

1961年にはテレビドラマ『スチャラカ社員』で事務員役を演じ、1962年からは『てなもんや三度笠』に珍念役で出演。藤田まこと、財津一郎との掛け合いが人気を呼び、一躍お茶の間の人気者となりました。吉本新喜劇にも多数出演し、白羽大介、ルーキー新一、花紀京らとの共演も多くありました。

上京と晩年

1968年に『てなもんや三度笠』が終了するとともに吉本興業を離れ上京。その後はテレビから舞台へと活動の比重を移し、島倉千代子、三波春夫らの歌謡ショーに出演したほか、北島三郎の歌謡ショーでは30年以上にわたり不動のゲストとして活躍しました。2000年代以降は、CM出演などで再びテレビにも登場しました。

2014年の映画『テルマエ・ロマエII』への出演を最後に芸能活動を事実上引退し、2020年12月16日に亡くなったことが、2022年になってから公表されました。

人物像とエピソード

白木みのるは、芦屋市に3階建てのマンションを所有し、自身もそこに住んでいました。その他にも、弟夫妻のための住宅、両親のための別荘、淡路島の広大な土地など、多くの不動産を所有していた実業家でもありました。

人気絶頂期の1963年には、NHK紅白歌合戦に『てなもんや三度笠』で共演していた藤田まことのみがゲスト出演したことに激怒し、NHKの受信料を支払わなかったという逸話もあります。その後、NHKとは和解し、連続テレビ小説『てるてる家族』に出演した際には、再び受信料を支払うようになりました。

生涯独身を貫き、「自分は未熟な人間だから結婚は考えられなかった」と語っています。弟子には青芝フック、石倉三郎、室谷信雄などがおり、西川きよしは付き人を務めていました。

主な出演作品

テレビドラマ

『スチャラカ社員』（1961年 - 1967年）
『てなもんや三度笠』（1962年 - 1968年）
『毎度おおきに』（1964年 - 1965年）
『柔道一直線』（1969年）
『大江戸捜査網』（1971年）
『好き! すき!! 魔女先生』（1972年）
『暴れん坊将軍II』（1985年, 1986年）
『TRICK2』（2002年）
『てるてる家族』（2003年）
『ケータイ刑事 銭形零 セカンドシーズン』（2005年）
『恋する日曜日』（2006年, 2007年）
『恋するハエ女』（2012年）

映画

『千羽鶴秘帖』（1959年）
『姫夜叉行状記』（1959年）
『浪花の恋の物語』（1959年）
『百万両五十三次』（1959年）
『悪名市場』（1963年）
『てなもんや三度笠』（1963年）
『てんやわんや次郎長道中』（1963年）
『素浪人捕物帖 闇夜に消えた女』（1963年）
『続・てなもんや三度笠』（1963年）
『歌くらべ満月城』（1963年）
『大笑い殿様道中』（1964年）
『大日本コソ泥伝』（1964年）
『大日本ハッタリ伝』（1965年）
『鼠小僧次郎吉』（1965年）
『大日本チャンバラ伝』（1965年）
『蝶々雄二の夫婦善哉』（1965年）
『大日本殺し屋伝』（1965年）
『てなもんや東海道』（1966年）
『幕末てなもんや大騒動』（1967年）
『てなもんや幽霊道中』（1967年）
『女渡世人』（1971年）
『極悪坊主 飲む・打つ・買う』（1971年）
『喜劇 命のお値段』（1971年）
『テルマエ・ロマエII』（2014年）

CM

東洋陶器（現：TOTO）
前田のクラッカー - ココナッツサブレ
前田製菓
小野薬品工業 - 強力アテロ
丸美屋食品工業 - のりたま等
キングジム - テプラ
タイガー魔法瓶
トイズファクトリー - Mr.Children アルバム

舞台

『夏休みだよ!サザエさん』（1978年）

ディスコグラフィー

「つんちゃな馬子さで/泣くもんか」（1963年）
「泣いちゃいけない男の子/!（オッタマゲ）のスキャット」（1969年）
「あゝ修身/珍念のタンゴ」（1970年）
「銭$ソング（マンダム親子のテーマ）/ダメおやじ」（1971年）
「白木みのる・演歌ごころ」

白木みのるは、その独特のキャラクターと多才な才能で、昭和の芸能界に大きな足跡を残しました。その愛すべき個性は、今もなお多くの人々の心に残っています。

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