白石村 (北海道)

白石村：北海道開拓の歴史を刻んだ村

白石村は、北海道札幌郡に属し、現在の札幌市白石区、厚別区、そして豊平区の一部に相当する地域を包含していた村です。豊平川中流右岸、月寒川・厚別川・野津幌川流域に位置し、豊かな自然と歴史に彩られた土地でした。この記事では、白石村の成立から札幌市への編入まで、その歴史と地理的な特徴を詳しく解説します。特に、1874年に分村し、1902年に再合併した上白石村についても言及します。

白石村の地理

白石村は、豊平川、旧豊平川、望月寒川、北白石川、月寒川、厚別川、野津幌川といった水系に恵まれた地域でした。これらの河川は、村の農業や交通に重要な役割を果たしました。

村の行政区分は、白石村と上白石村の二大字と、さらに細かい区画に分けられていました。具体的には、米里、横町、中央、本通、南郷、北郷、大谷地、野津幌、下野津幌、旭町、厚別東、厚別西、厚別川下、小野幌、山本（旧本田）、そして上白石1から4といった区画が存在しました。

白石村の開拓と発展

白石村の開拓は、1871年（明治4年）、仙台藩白石城主・片倉氏家臣とその家族約400名によって本格的に始まりました。彼らは厳しい冬の寒さに耐えながら、現在の国道12号沿い（白石公園付近から白石神社までの間）に短期間で住居を建設しました。その驚異的な働きぶりに感銘を受けた開拓使の岩村通俊判官は、彼らの出身地である白石にちなんで村名を「白石村」と命名しました。

その後、1874年には村内の26戸が豊平川沿岸に移住し、上白石村を形成しました。厚別川・野津幌川流域は、明治初期には「アシリベツ」と呼ばれていましたが、明治16年以降、長野県出身の河西由造、中沢兼三郎らをはじめとする各地からの農業移民による開拓が進みました。

1872年には、札幌神社の旧社殿が白石村に移築され、「札幌神社遙拝所」（現在の白石神社）が創建されました。また、入植者の子弟のための寺子屋「善俗堂」（後の市立白石小学校）も開設されました。これらの出来事は、白石村の社会基盤整備の進展を示しています。

旧白石城主・片倉景憲も1877年に上白石村に移転し、白石村と上白石村を含む複数の村の戸長を務めました。

1889年には札幌と江別を結ぶ江別道路（現在の国道12号）が開通し、1890年には豊平川に上白石村と札幌を結ぶ東橋が完成しました。交通網の発展は、白石村の経済活動の活性化に大きく貢献しました。1894年には北海道炭礦鉄道手宮線（現在の函館本線）厚別駅が開業し、1903年には白石駅も開業しました。さらに、1926年には北海道鉄道札幌線（現在の千歳線）が開通、月寒駅、大谷地駅、野津幌駅（後の初代上野幌駅）が開業するなど、交通の便は飛躍的に向上しました。

白石村と上白石村の合併と札幌市への編入

1902年、白石村と上白石村は合併し、二級町村白石村となりました。その後、1910年には大字上白石村の一部が札幌区に編入され、札幌区白石町となりました。1932年には一級町村に昇格、さらに1944年には大字白石村の一部が豊平町に編入されました。そして、1950年、白石村全域が札幌市に編入され、札幌市白石町と厚別町となりました。これにより、長きにわたる白石村の歴史は幕を閉じました。

交通網

白石村には、鉄道網と道路網が整備されていました。鉄道は、国鉄函館本線（白石駅、厚別駅）、国鉄千歳線（月寒駅、大谷地駅、上野幌駅）、定山渓鉄道線（白石駅）が通っていました。道路は、国道12号、北海道道3号札幌夕張線、北海道道5号札幌恵庭線などがありました。これらの交通網は、白石村の住民生活や経済活動にとって重要なインフラでした。

白石村の歴史は、北海道の開拓と発展の歴史そのものです。厳しい自然環境の中、人々の努力と創意工夫によって築き上げられた歴史と文化は、現在も札幌市の発展に大きな影響を与え続けています。

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