白石永仙

白石永仙（しらいし えいせん）

白石永仙は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した僧侶であり、後に武将となった人物です。伊集院忠真の客将として、その生涯は波乱に満ちたものでした。

生涯

元の名を白坂栄山といい、紀伊国（現在の和歌山県）の根来寺の僧でした。彼は僧兵の中でも特に武芸に秀でており、その腕前は「僧兵の第一」と称されるほどでした。また、兵法にも通じていたと伝えられています。

根来寺は長年にわたり、織田信長や羽柴秀吉（後の豊臣秀吉）に抵抗を続けていましたが、天正13年（1585年）3月、秀吉による焼き討ちを受けました。これにより永仙は日向国（現在の宮崎県）へと逃れ、広済寺の住職となりました。そこで、伊集院忠真と出会い、その兵法に通じた知識を買われ、還俗して忠真の客将となります。

慶長4年（1599年）、忠真の父である伊集院忠棟が、謀反の疑いをかけられ島津忠恒によって誅殺されるという事件が起こります。この時、忠真は一族や家臣と今後の対応を協議しましたが、永仙は旧領の安堵を求めるべきとする意見を退け、徹底抗戦を主張しました。その結果、忠真は永仙の意見を受け入れ、島津氏に対して反旗を翻すことになります（庄内の乱）。

忠真軍は12の城に籠城し、永仙は安永城を拠点としました。永仙は、自軍の兵500人を中霧島の山中に隠し、さらに諏訪山、風呂谷、枳ヶ谷にもそれぞれ500騎ずつを潜ませました。そして自らは45騎を率いて山田城へと攻撃を仕掛けました。この時、鎌田政近の相談役を務めていた川上忠兄は、永仙の行動が伏兵をおびき寄せるための策略であると見抜き、追撃しないよう進言しました。しかし、一部の将は永仙を追撃し、伏兵によって討ち取られるという結果となりました。

慶長5年（1600年）3月、徳川家康の仲介により、忠真は降伏し、庄内の乱は終結しました。しかし、永仙は忠真に謀反を勧めたこと、伏兵を用いて島津の将兵を多数殺害したことを咎められ、その年の12月29日に斬首されました。彼の首は姶良郡の脇元の獄門に晒されました。

なお、『庄内陣記』には、白石永仙は島津氏が禁じていた一向宗の僧ではなかったかという説が注釈として記されています。このことから、永仙の出自や宗教観についても様々な憶測がなされています。

参考文献

『庄内軍記』
『庄内陣記』
* 橋口嵐山『諸県興亡』（宮崎日々新聞掲載）

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