白鬚浜駅

白鬚浜駅：琵琶湖畔の夏の思い出

白鬚浜駅は、かつて滋賀県高島市鵜川にあった江若鉄道の駅です。現在は廃駅となっていますが、琵琶湖に面した白鬚浜水泳場（現在の白ひげ浜水泳キャンプ場）へのアクセス拠点として、多くの観光客に利用されました。

開業と賑わい

1951年（昭和26年）、白鬚浜水泳場の開発と時を同じくして開業した白鬚浜駅は、夏季限定の臨時駅でした。京都の観光事業会社が開発した白鬚浜水泳場は、多くの観光客を呼び込み、駅周辺は活気に満ち溢れていました。水泳を楽しむ人々だけでなく、白鬚神社への参拝を目的とした人々も訪れ、夏の観光シーズンには賑やかな光景が広がっていたことでしょう。江若鉄道は、白鬚浜駅以外にも青柳ヶ浜駅や近江舞子南口駅といった、水泳客向けの臨時駅を設けており、夏の観光客輸送に力を入れていたことがわかります。近江舞子南口駅は後に常設駅となりました。

廃駅とその後

1969年（昭和44年）、江若鉄道の路線廃止に伴い、白鬚浜駅は廃駅となりました。短いながらも、多くの思い出と賑わいをもたらした駅は、歴史の中にその姿を消しました。しかし、駅があった場所は現在でも、白鬚浜水泳場の駐車場の南側にあたり、かつての面影を偲ばせる場所として残っています。

駅の構造と周辺環境

白鬚浜駅は旅客のみを取り扱うシンプルな駅でした。ホームは線路の片側に1面のみの単式ホームで構成されていました。駅周辺は、琵琶湖の景観と自然豊かな環境に恵まれており、駅からの眺めも素晴らしかったことでしょう。

駅周辺には打下日吉神社があり、江若鉄道の線路は神社の境内を横断していました。また、琵琶湖の内湖である乙女ヶ池の西岸沿いを進み、日吉神社付近からは盛土となった線路跡が残っています。この線路跡を辿ると、江若鉄道廃線後に開通した湖西線の線路に到達します。現在では、この周辺の風景も変化しているかもしれませんが、かつての面影を想像することは可能です。

参考文献

白鬚浜駅の歴史や周辺環境を知る上で、以下の参考文献が役立ちます。これらの文献には、江若鉄道全般に関する情報や、廃線後の線路跡の様子などが詳細に記されています。

今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』 9 関西2、新潮社、2008年
今尾恵介（編著）『新・鉄道廃線跡を歩く』 4（近畿・中国編）、JTBパブリッシング、2010年
大津市歴史博物館 編『企画展 ありし日の江若鉄道 ―大津・湖西を結ぶ鉄路（みち）―』大津市歴史博物館、2006年
大津市歴史博物館 編『江若鉄道の思い出 ありし日の沿線風景』サンライズ出版、2015年
竹内龍三「私鉄車両めぐり(70) 江若鉄道」『鉄道ピクトリアル』第17巻第1号（通巻192号）、鉄道図書刊行会、1967年1月
寺田裕一『新 消えた轍 ―ローカル私鉄廃線跡探訪―』 8 近畿、ネコ・パブリッシング〈NEKO MOOK〉、2010年
* 吉田恭一『地形図で辿る廃線跡 古地図とともにいまはなき鉄道を歩く』心交社、1998年

これらの書籍を通して、白鬚浜駅の歴史と、その周辺地域の変遷をより深く理解することができるでしょう。白鬚浜駅は、近代日本の観光開発と地方鉄道の歴史を語る上で重要な一コマを担っていたと言えるでしょう。また、廃線跡を辿る旅を通して、過去の風景を偲び、現代の風景との対比を楽しむこともできます。

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