百武賢兼

百武賢兼について

百武賢兼（ひゃくたけ ともかね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、龍造寺氏の家臣として知られています。彼は龍造寺四天王の一人であり、家紋には鏡之内桔梗を使用していました。賢兼の出自を辿ると、もともとは源氏に由来し、昔は戸田姓を名乗っていました。彼の祖先は関東の士族でしたが、後に肥前国へ移住し、父の戸田兼定の代から龍造寺氏に仕官しました。

家族と戦死

賢兼は戸田兼定の長男として生まれました。最初は兼道や兼通と名乗っていましたが、龍造寺鎮賢から偏諱を受けて賢兼に改名しました。彼は龍造寺軍の中核を担い、戦場での活躍が数多くありました。主君である龍造寺隆信からは、その武勇を称えられ、百人並みの能力を持つと評され、百武姓を授けられました。

賢兼は、自身の武勇により龍造寺四天王の一人として名を馳せており、同時に「両弾二島」にも名を連ねるほどの存在感がありました。彼は天正12年、沖田畷の戦いで隆信と共に討ち死にし、その墓は佐賀市の天佑寺に残されています。

逸話と妻のエピソード

賢兼の生涯には興味深い逸話が幾つか残されています。天正9年、それまで信頼していた蒲池鎮漣を討伐するために出陣する際、彼は涙を流しながらも最後には出陣を果たさなかったとされています。この出来事は、賢兼が主家の家運に対していよいよ厳しい状況を感じ取っていたことを物語っています。

賢兼の妻は法名を円久妙月といい、男勝りな性格であったそうです。彼女は大友氏との戦いの際、鍋島直茂の指揮の下、城を守り薙刀を持って戦う姿が伝えられています。沖田畷の戦いの後には、亡き夫に代わり城を守るために立ち向かい、敵を撃退した強い女性として知られています。

子孫とその後

賢兼の死後、彼の養子である茂兼が家督を継承し、龍造寺氏が衰退した後も鍋島氏に仕官していました。また、少弐氏に属する平井経房の娘が鍋島直茂に嫁いでおり、その子孫は後に百武姓を名乗るようになります。

彼の子孫の中には、佐賀藩の11代藩主で外務書記官としても活躍した百武兼行や、満洲事変に際して臨時戦車隊を指揮した百武俊吉がいます。また、昭和初期には「百武三兄弟」として知られる海軍大将の百武三郎や源吾、陸軍中将の晴吉も有名です。さらに、小説家の泉大八（本名・百武平八郎）やアマチュア天文家の百武裕司といった分家の者たちもいます。

このように、百武賢兼の存在は、彼自身だけでなく、その家系にも深い影響を与え、多くの人々に語り継がれてきたのです。

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