皆与志町

皆与志町（みなよしちょう）

皆与志町は、鹿児島県鹿児島市北部に位置する町です。かつては伊敷村の大字であった皆房（かいぼう）と比志島（ひしじま）という二つの地域が、1950年に合併して誕生しました。ここでは、皆与志町の歴史や地理、文化、教育施設について詳しく解説します。

地理

皆与志町は、鹿児島市の北部、甲突川の中流域に位置しています。町の中央部には比志島川が東西に流れ、西端で甲突川に合流しています。北には東俣町、東には本名町、南には岡之原町、花野光ヶ丘、犬迫町、西には川田町が隣接しています。

町内には、鹿児島市立皆与志小学校や鹿児島県立皆与志特別支援学校などの教育施設があり、地域住民の生活を支えています。また、皆房、無田平、下組、比志島、菖蒲谷、転住、中組、塚谷といった集落が存在します。

山岳としては三重嶽がそびえ、自然豊かな環境が広がっています。

歴史

前史

皆与志町の前身である大字皆房と大字比志島は、1950年10月1日に鹿児島市に編入されるまで、それぞれ異なる歴史を歩んできました。

中世

比志島は鎌倉時代からその名が見られる地名で、薩摩国満家院の一部でした。1233年には、税所氏が支配していた比志島などの土地が、僧侶たちによって栄尊に与えられたという記録が残っています。この栄尊が比志島氏の始祖とされています。1247年には、栄尊は比志島、河田、西俣、城前田、上原薗の5か所の名主職を譲り受け、島津忠時の承認を得て正式な所領となりました。

比志島氏の領地はその後も増減がありましたが、鎌倉時代を通して比志島、河田、西俣の3つの地は維持されました。また、比志島氏の一族からは小山田氏、上原氏、郡山氏などの支族が生まれ、それぞれの地域を支配しました。

南北朝時代には、比志島氏は小規模な名主職を基盤とした経済生活を送っており、徳政令の影響も受けました。また、南北朝の内乱時には、比志島城が攻撃されるなど、戦乱に巻き込まれました。

室町時代になると、皆房という地名が文献に現れ、皆房村は鹿児島郡に属していました。

近世

江戸時代の比志島村は薩摩藩の支配下にあり、村高は時代によって変動しましたが、おおむね1,100石前後でした。17世紀には、比志島氏は島津氏の直轄領となり、栗野や日向国に移封されました。

皆房村は、江戸時代には鹿児島郡に属しており、村高は235石余りでした。天保年間には比志島村に合併されましたが、明治時代初期に再び分離しました。

町村制施行以後

1889年の町村制施行により、上伊敷村、下伊敷村、小野村、犬迫村、小山田村、皆房村、比志島村が合併して伊敷村が成立。これにより、皆房村は伊敷村の大字「皆房」となり、比志島村は伊敷村の大字「比志島」となりました。

皆与志町の成立以降

1950年、伊敷村が鹿児島市に編入された際、大字皆房と大字比志島が合併して、新たに皆与志町が設置されました。この町名は、地域の小学校名に由来しています。

1992年には、花野団地地区の住居表示実施に伴い、岡之原町と皆与志町の一部から花野光ヶ丘二丁目が誕生しました。

人口

皆与志町の人口は、1995年以降、減少傾向にあります。

施設

教育

鹿児島県立皆与志特別支援学校
鹿児島市立皆与志小学校
鹿児島市立皆与志幼稚園

寺院

諏訪神社
西本願寺鹿児島別院皆与志出張所

鹿児島市立皆与志小学校

皆与志小学校は、明治初期に川路利良によって設立された私塾「明命黌」を前身とする歴史ある小学校です。1876年に比志島小学校として設立され、1890年に皆房分校と合併、1892年には皆与志尋常小学校となりました。2014年現在の児童数は56名で、小規模校として特認校に指定されています。

鹿児島県立皆与志特別支援学校

皆与志特別支援学校は、養護学校教育の義務化に伴い1979年に開校しました。当初は小学部と中学部が設置されていましたが、2023年度末をもって廃止となり、在校生は鹿児島県立鹿児島特別支援学校へ転籍することになりました。

著名な出身者

川路利良（内務官僚・警察官、初代大警視）：比志島村出身。「日本警察の父」と称される人物です。生家跡には記念碑が建てられています。

交通

道路

国道3号

路線バス

JR九州バス
鹿児島交通
鹿児島市コミュニティバス（あいばす）

まとめ

皆与志町は、歴史と自然が調和した魅力的な町です。かつては比志島氏の領地として栄え、現在は小学校や特別支援学校が地域を支えています。地域の方々によって大切に守られてきたこの土地は、今もなおその歴史を伝えています。

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