伊敷村

伊敷村（いしきむら）

伊敷村は、かつて鹿児島県の中部に位置していた村で、1950年10月1日に鹿児島市に編入され、自治体としての歴史を閉じました。現在の鹿児島市域の北西部に相当します。

地理

伊敷村は、鹿児島県の中央部に位置し、鹿児島市の北側に広がっていました。東経130度31分、北緯31度36分に位置し、村の中央を甲突川が流れ、その流域に沖積低地が形成されています。また、村域には山地も含まれており、変化に富んだ地形でした。村役場は、大字上伊敷（現在の伊敷）に置かれていました。

主な河川

甲突川
川田川

大字

伊敷村は、以下の8つの大字で構成されていました。

上伊敷
下伊敷
小野
永吉（1920年に鹿児島市に編入）
犬迫
小山田
比志島
皆房

現在の鹿児島市における伊敷村の範囲は、以下の町に相当します。

伊敷町
伊敷
下伊敷
伊敷台
千年
若葉町
小野町
小野
犬迫町
小山田町
皆与志町
永吉
明和
原良町
原良
草牟田町
草牟田
玉里町の全域
玉里団地、西伊敷、武岡、城山、城西の各一部

歴史

1889年（明治22年）4月1日：町村制施行により、上伊敷村、下伊敷村、小野村、永吉村、犬迫村、小山田村、比志島村、皆房村の区域が合併し、鹿児島郡伊敷村が成立しました。
1911年（明治44年）9月30日：大字下伊敷字草牟田（草牟田）が鹿児島市に編入されました。
1920年（大正9年）10月1日：大字下伊敷字紙屋谷（玉里）および伊敷村大字永吉（永吉、原良）が鹿児島市に編入されました。
1948年（昭和23年）3月7日：旧警察法の規定により、伊敷村警察が設置されました。
1949年（昭和24年）3月27日：鹿児島市編入に関する住民投票が行われ、賛成多数で編入が決定しました。
1950年（昭和25年）10月1日：鹿児島市へ編入されました。この際、上伊敷は伊敷町に、比志島と皆房は統合されて皆与志町となりました。

村名の由来

村名は、印色入日子命（いにしきいりひこのみこと）を祀る伊邇色神社（いにしきじんじゃ）の「伊邇色」が訛って「伊敷」となったと伝えられています。

産業

伊敷村の主な産業は農業でした。しかし、石材加工を行う工場も存在していました。また、小山田には九州で最初の水力発電所である小山田発電所がありました。

行政

歴代村長

町村制施行以降の村長は以下の通りです。

高附栄次郎（1947年4月8日 - 1950年9月1日）

行政組織

伊敷村の行政組織は以下の通りでした。

村長
助役
総務課
庶務係、戸籍係
教育民政課
教育係、厚生係、衛生係
勧業課
産業係、経済係、指導係
財務係
第一係、第二係
収入役
財務課会計係

出張所

伊敷村役場には以下の出張所が置かれていました。

上伊敷出張所
下伊敷出張所
小野出張所
犬迫出張所
小山田出張所
皆与志出張所
皆房出張所

警察

伊敷村は、旧警察法により人口5,000人以上の市街的町村に指定され、自治体警察である伊敷村警察が置かれました。鹿児島市編入後は、鹿児島市警察の管轄となりました。

伊敷村警察（大字下伊敷666番地）
警務課
刑事課
警邏交通課

人口

伊敷村の人口は、編入時に17,449人でした。

教育

中学校

伊敷村立伊敷中学校（下伊敷）
伊敷村立河頭中学校（犬迫）
伊敷村青年師範学校付属中学校

小学校

伊敷村立伊敷小学校（上伊敷）
伊敷村立玉江小学校（小野）
伊敷村立小山田小学校(小山田）
伊敷村立犬迫小学校（犬迫）
伊敷村立皆与志小学校（比志島）

施設

1897年（明治30年）から1945年（昭和20年）まで、第6師団歩兵第45連隊の連隊本部が現在の鹿児島県立短期大学の敷地に設置されていました。

郵便局

伊敷郵便局
河頭郵便局（後の鹿児島西郵便局）

刑務所

鹿児島刑務所

交通

道路

一級国道
国道3号
県道
小山田谷山線

鉄道

鹿児島市電気局鹿児島市電伊敷線
伊敷電停（伊敷 - 上伊敷間は未開通）

伊敷村出身の著名人

川路利良（武士、初代大警視、陸軍少将）
高城俊男（作詞家、合併後に「鹿児島市民歌」を作詞）
鶴田義行（水泳選手、アムステルダムオリンピック・ロサンゼルスオリンピック金メダリスト）
* 米山恒治（衆議院議員、鹿児島県議会議長）

もう一度検索