犬迫町

鹿児島市犬迫町

犬迫町は、鹿児島市の北西部に位置する、自然豊かな町です。かつては薩摩街道の宿場町として栄え、歴史的な背景も持ち合わせています。ここでは、犬迫町の地理、歴史、文化、施設などについて詳しく解説します。

地理

犬迫町は、鹿児島市の北西部に位置し、北東端を甲突川が南東に流れています。町域は、北に小山田町、南に小野町と西別府町、東に伊敷町、皆与志町、石谷町、そして日置市伊集院町竹之山と接しています。地区は、古別府、横井、栗之迫、仲組、久木田、下門、入佐、荒磯、川路山、萩別府から構成されています。

町の中央部には鹿児島市立犬迫小学校があり、その前で鹿児島県道210号小山田谷山線と鹿児島県道206号徳重横井鹿児島線が交差しています。東部には国道3号と甲突川が並行して流れ、甲突川の対岸は皆与志町となっています。河頭付近の丘の上には、かごしま健康の森公園があり、西部には鹿児島市北部清掃工場が位置しています。

主な河川

甲突川
犬迫川
荒磯川
松尾川
幸加木川
西之谷川

町名の由来

「犬迫」という地名は、山が深く谷が複雑で、犬が迷い込むと出られなくなるほどであったことに由来すると言われています。

歴史

中世

犬迫という地名は、室町時代から確認できます。寛正6年（1465年）の「鹿児島諏訪社祭次第」にその名が見られ、文明5年（1473年）の田代肥前入道清定書状には「鹿児嶋犬迫」として記述されています。この頃、田代氏の所領があったことが分かります。また、大永6年（1526年）の島津忠兼の書状によれば、犬迫の一部が河田氏に与えられたとされています。享禄3年（1530年）には、八房神社が比志島義祐によって建立されました。

近世

江戸時代、犬迫村は薩摩国鹿児島郡鹿児島近在に属し、遠名に区分されていました。村高は時代によって変動があり、「天保郷帳」では1,919石余、「三州御治世要覧」では1,507石余でした。城下士の一部は犬迫村に居住していました。薩摩街道沿いの横井野町は、鹿児島近在で唯一の野町（幹線道路沿いの商人住区）であり、宿場町としても機能していました。横井野町の人口は、明和9年（1772年）には104人でしたが、文政9年（1827年）には153人に増加しました。横井野町には、茶屋や商店、焼酎屋などが営業しており、特に「ハル茶屋」、「杉ノ木茶屋」、「おもい茶屋」の3軒の茶屋が知られていました。

近代

1889年（明治22年）の町村制施行により、犬迫村は上伊敷村、下伊敷村、小野村、小山田村、皆房村、比志島村とともに伊敷村となり、大字「犬迫」となりました。1892年（明治25年）には、八房小学校が玉江小学校の分校となり、1900年（明治33年）には犬迫小学校として独立しました。1950年（昭和25年）に伊敷村が鹿児島市に編入された際、大字犬迫の区域をもって新たに鹿児島市の「犬迫町」が設置されました。

その後、1978年（昭和53年）に鹿児島市北部清掃工場が完成し、1986年（昭和61年）には横井埋立処分場が、1992年（平成4年）にはかごしま健康の森公園が開園しました。1993年（平成5年）の8.6水害では、犬迫町の河頭浄水場が冠水し、鹿児島市内の水道供給が一時的に滞る事態も発生しました。2007年（平成19年）には、北部清掃工場の老朽化に伴い、隣接地に新たな清掃工場と粗大ごみ処理施設が建設されました。

人口

1995年以降の人口推移は以下の通りです。

（国勢調査に基づく小地域集計データ参照）

施設

公共施設

鹿児島市水道局河頭浄水場
鹿児島市北部清掃工場
横井埋立処分場
リサイクルプラザ
鹿児島市都市農業センター
かごしま健康の森公園
鹿児島県ライフル射撃場

教育施設

鹿児島市立河頭中学校
鹿児島市立犬迫小学校

寺社

八房神社
枚聞神社

郵便局

犬迫簡易郵便局

交通

鹿児島県道206号徳重横井鹿児島線（旧薩摩街道出水・西目筋の一部）
鹿児島県道210号小山田谷山線

地域コミュニティ協議会

* 犬迫地域コミュニティ協議会

その他

犬迫町は、歴史と自然が調和した魅力的な地域です。薩摩街道の宿場町としての歴史を感じさせながら、現代的な施設も整っており、住民の生活を支えています。

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