益田兼利

益田兼利について

益田兼利（ました かねとし）は、1913年（大正2年）9月17日に生まれ、1973年（昭和48年）7月24日に亡くなった、日本の陸軍軍人、陸上自衛官です。彼は、陸上自衛隊の要職である第2師団長や東部方面総監を歴任しました。また、陸軍士官学校第46期を卒業し、陸軍大学校第54期を首席で卒業した秀才でもありました。彼の息子である益田兼弘も陸上自衛隊に在籍し、親子二代で同じ師団長と方面総監を務めました。

人物像

熊本県出身の益田は、終戦直後の1945年8月17日に、陸軍士官学校の同期である晴気誠少佐の自決に立ち会いました。晴気少佐は、サイパン島防衛計画の責任者であり、作戦の失敗がサイパン島の陥落と日本の敗戦を招いたとして、自責の念から自決しました。

益田は、陸上自衛隊入隊後、将来の陸上幕僚長候補として期待されていましたが、東部方面総監在職中の1970年11月25日に発生した三島事件で人質となりました。この事件では、三島由紀夫と森田必勝が自決しており、益田はその場に立ち会いました。事件後、責任を取るために中曽根康弘防衛庁長官に辞表を提出しましたが、当初は受理されませんでした。しかし、本人の強い意思と自民党からの責任を問う声を受け、同年12月18日に辞職が了承されました。

略歴

益田は、鹿本中学、陸軍士官学校予科を経て陸軍士官学校に入校しました。

1934年（昭和9年）6月：陸軍士官学校（第46期）を10番/338名の成績で卒業。
1934年（昭和9年）10月：陸軍少尉に任官し、歩兵第21連隊に配属。
1936年（昭和11年）6月：歩兵第2連隊に異動。
1936年（昭和11年）10月：陸軍中尉に昇進。
1937年（昭和12年）2月：陸軍士官学校教官に就任。
1938年（昭和13年）8月：陸軍大尉に昇進。
1938年（昭和13年）12月：陸軍大学校に入学（第54期）。
1941年（昭和16年）7月：陸軍大学校を首席で卒業（恩賜組）。
1941年（昭和16年）8月：陸軍参謀本部に配属。
1941年（昭和16年）12月：参謀本部員・大本営参謀（編制班）に就任。
1942年（昭和17年）8月：陸軍少佐に昇進。
1944年（昭和19年）3月：第11軍参謀（作戦主任）に就任、11月：大本営作戦班参謀（決号西部）。
1945年（昭和20年）8月：軍務局課員に就任。
1945年（昭和20年）11月：復員。
1952年（昭和27年）7月14日：警察予備隊久里浜駐屯部隊に入隊（2等警察正）。
1954年（昭和29年）7月1日：陸上自衛隊発足、1等陸佐に任命。
1956年（昭和31年）8月16日：第12普通科連隊長兼国分駐屯地司令に就任。
1958年（昭和33年）8月1日：陸上幕僚監部第3部防衛班長に就任。
1959年（昭和34年）8月1日：陸上幕僚監部第3部副部長に就任。
1961年（昭和36年）1月1日：陸将補に昇任。
1961年（昭和36年）6月8日：第2代自衛隊東京地方連絡部長に就任。
1962年（昭和37年）3月16日：陸上幕僚監部募集課長に就任。
1964年（昭和39年）3月16日：北部方面総監部幕僚長兼札幌駐屯地司令に就任。
1965年（昭和40年）7月16日：第2師団長に就任。
1966年（昭和41年）1月1日：陸将に昇任。
1966年（昭和41年）7月1日：陸上幕僚監部第5部（現・教育訓練部）部長に就任。
1968年（昭和43年）3月14日：陸上幕僚副長に就任。
1969年（昭和44年）7月1日：第8代東部方面総監に就任。
1970年（昭和45年）12月22日：三島事件の責任を取り辞任。
1973年（昭和48年）7月24日：逝去（享年61、満年齢で59）。従三位、勲二等瑞宝章が追贈されました。

栄典

勲二等瑞宝章 - 1973年（昭和48年）7月24日

脚注

参考文献

杉原裕介／杉原剛介『三島由紀夫と自衛隊 秘められた友情と信頼』（並木書房、1997年）ISBN 4-89063-087-2
陸上自衛隊20年年表（朝雲新聞社刊）
『日本陸海軍総合事典 第2版』秦郁彦編、東京大学出版会、2005年。

関連項目

三島由紀夫 / 森田必勝
市ヶ谷駐屯地

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