相模川佶延

相模川佶延 (さがみがわ よしのぶ)

相模川佶延は、1917年7月13日に神奈川県愛甲郡南毛利村（現在の厚木市）で誕生した大相撲力士であり、本名は原島宝（はらじま たから）です。彼は春日野部屋に所属し、身長189cm、体重124kgの巨漢として知られています。相模川の得意技は、左四つ、突っ張り、上手投げであり、1944年5月場所には西関脇にまで昇進しました。

来歴

相模川は17歳で春日野部屋に入門し、1935年5月場所での初土俵を迎えました。彼の相撲キャリアは1937年5月場所における序二段優勝によって加速し、その結果、三段目、幕下、そして十両をそれぞれ1場所で突破。1940年5月場所でついに新入幕を果たしました。彼の長身を活かした突っ張り戦術は非常に効果的であり、上位に進出する際の大きな武器となりました。また、長身力士特有の鯖折りが功を奏して勝利も収め、多くのファンから「未来の横綱」や「太刀山の再来」と期待されました。

入幕2場所目となる1940年1月場所では、新大関の羽黒山への初黒星を献上。羽黒山との通算成績でも4勝7敗と善戦を見せることができました。特に1943年1月場所では、新小結として10勝5敗を記録し、関脇に昇進後も8勝7敗、11勝4敗と2場所連続で勝ち越しを果たし、相模川の全盛期となりました。1944年1月場所では、千秋楽において優勝をかけた羽黒山に勝利し、小結・佐賀ノ花の優勝を呼び寄せる活躍をしました。

しかし、得意な突っ張りが外れると、四つ身の技術が不足していたため、弱点をとられやすく、結果として大関への挑戦は実を結ぶことがありませんでした。1947年6月場所には一度「相模山」と名乗りましたが、初日不戦敗の後はすぐに元の四股名に戻しています。戦後は急激に成績が下降し、1949年5月場所で十両に落ちることとなり、現役を引退。年寄名跡を取得できず、引退後は日本相撲協会には残りませんでした。

また、相模川は6代目尾上菊五郎に愛された力士としても知られています。彼は「相撲も踊りも、足が大切だ」との言葉を残し、相模川に踊りの稽古を勧めたと言われています。引退後は福岡の博多でキャバレーを経営するなど、相撲界を離れた生活を送りました。1987年1月22日に69歳で逝去、その後、本名については「原島實」だったことが知られるようになりました。

双葉山の最後の相手

相模川は特に1945年6月場所の初日に双葉山と対戦し、これが双葉山の最後の試合となったことから、彼は歴史に名を残すこととなりました。相模川は長年にわたり双葉山を打倒する期待を寄せられていましたが、本場所での対戦では10戦全敗という結果に終わってしまいました。相模川のキャリアは、一瞬の成功や期待に対する残念な終わりがあったことを物語っています。

主な成績・記録

相模川の通算成績は163勝133敗9休であり、勝率は0.551です。幕内での成績は127勝120敗9休、勝率は0.514でした。彼は29場所に在位し、その中で20場所を幕内で過ごし、さらに関脇で3場所、小結で2場所という三役在位も経験しています。金星は2個（羽黒山から2個獲得）を記録しました。具体的な各段優勝では、三段目優勝を1回、序二段優勝を1回成し遂げています。

相模川佶延は、力士としての輝かしい業績とともに、その背景や人間性においても興味深い人物です。相撲界に残した足跡は今も色あせることなく、多くのファンに愛され続けています。

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