瞳のカトブレパス

『瞳のカトブレパス』詳細解説

『瞳のカトブレパス』は、田中靖規による日本の漫画作品で、作者初の連載作品です。週刊少年ジャンプにて、2007年25号から40号まで連載されました。物語は、日本の古都「K都」を舞台に、時を止める力を持つ少年・志村時生が、魔物と戦う姿を描いています。

あらすじ

物語の舞台は、歴史と伝統が息づく古都「K都」。この街には、人を喰らう魔物たちがはびこっており、人々は恐怖に怯えて暮らしていました。そんな中、左目に魔物「カトブレパス」を宿し、時を止める力を持つ少年・志村時生が現れます。時生は、この力を使って魔物を退治していきます。

一方、騒動に巻き込まれた女子高生の岸田美依子は、時生に興味を持ち、彼のことを詮索し始めます。物語は、時生と美依子を中心に、魔物との戦い、そして彼らの成長を描いていきます。

登場人物

志村家

K都を守護する一族で、北の玄武を司ります。玄武寺を拠点としていますが、周囲からは無人の古寺と思われており、誰も近づきません。実際は、結界によって真の姿が隠されています。寺のモデルは東寺です。

志村時生（しむらときお）
本作の主人公。16歳。左目に時を止める力を持つ魔物「カトブレパス」を宿しています。丁寧な敬語で話す一方、アニメオタクで、面倒なことが嫌いな現代っ子という一面も持ち合わせています。カトブレパスを宿しているため、毒が一切通用しません。千年前、魔物を封じ込めた「K都守護家」の21代目当主。家族を抹殺した兄・時人を倒すことを誓っています。肉弾戦では「破邪の鉄扇」を武器として戦い、カトブレパスと同化することで強大な力を発揮します。
白澤（ハクタク）
志村家に長く仕える謎の存在。牛のような体型で、顔に「白澤圖」の札を貼っているため、誰も顔を見たことがありません。高い知識を持ち、時生からは「生き字引」と呼ばれています。普段はおぼつかない動きをしますが、急ぐ際は宙に浮いて移動します。実は強力な魔物で、玄武寺の結界の役割も担っています。
菖蒲（あやめ）
志村家に仕える妖精のような存在。常に空中に浮いて移動しています。
徳田（とくだ）
志村家に仕える料理人。人間で、時生以外で唯一、志村家に住む人物です。

細美家

K都を守護する一族で、南の朱雀を司ります。普段は蕎麦屋「朱雀庵」を経営しています。

細美一燈（ほそみかずと）
22歳。時生と同じくK都守護家の当主で、時生とは遠い親戚関係にあります。髪に魔物「真朱鴗鳥」を飼っています。毒舌家ですが、面倒見の良い性格です。炎を自在に操り、ハーレーダビッドソンを愛しています。
七尾光樹（ななおみつき）
19歳。細美家の側近である戦闘集団「三連朱雀」の一人。右手に魔物「銀星」を宿しています。明るい性格で、ミーコと仲が良いです。方向音痴なのが玉に瑕。
吉井透侍（よしいとうじ）
26歳。「三連朱雀」の一人。左胸に魔物「雷切」を宿しています。居合の達人で、蕎麦職人としても一流の腕前を持っています。
五十嵐（いがらし）
「三連朱雀」の一員。帽子を被った老人で、一燈が子供の頃から仕えています。

倉持家

K都を守護する一族で、東の青龍を司ります。大財閥「青龍会」を経営しています。

倉持みちる（くらもちみちる）
18歳。時生と同じくK都守護家の当主。胸に魔物「娑伽羅王」を宿しています。まだ力を制御しきれていませんが、芯の強い心の持ち主です。普段は女子高生で、吹奏楽部に所属しています。
倉持たまき（くらもちたまき）
71歳。みちるの祖母で、倉持家の先代当主。占星術を得意としています。
倉持巌（くらもちいわお）
みちるの父で、青龍会の社長。娘には普通の生活を送ってほしいと願っています。
陽拳（ヨウケン）
倉持家のボディガード。陰拳とは双子で、常にみちるを守っています。
陰拳（オンケン）
倉持家のボディガード。陽拳とは双子で、常にみちるを守っています。

叛阿弥家

K都を守護する一族で、西の白虎を司ります。本作には未登場。

その他

岸田美依子（きしだみいこ） / ミーコ
16歳。普通の女子高生ですが、魔物退治に首を突っ込んでいきます。時生のツッコミ役で、物語のヒロイン的存在です。実家は果物屋を経営しています。

魔物（祅魔）

カトブレパス
時生の左目に宿る大祅魔。瞳には猛毒が仕込まれており、見た者の時間を止める力があります。時生と同化することで、強力な力を発揮します。
真朱鴗鳥（マソホソニドリ）
一燈の髪に宿る炎を操る鳥型の祅魔。
銀星（ギンボシ）
光樹の右手に宿る魚型の祅魔。触れたものを高速で飛ばすことができます。
雷切（ライキリ）
透侍の体に宿る刀型の祅魔。触れたものを斬ることができます。
娑伽羅王（シャカラオウ）
みちるの胸に宿る龍型の祅魔。水を操り、治癒能力を持つ。

天魔波旬の勢力

天魔波旬（てんまはじゅん）/ 志村時人（しむらときひと）
時生の兄。魔道に堕ち、世界を魔物の手に落とそうと企んでいます。
開明（カイメイ）
祅魔の長的存在で、波旬の部下。千里眼を持ちます。
熾凶（シキョウ）
強力な力を持つ祅魔。四凶の体内に潜んでいた。
渾沌（コントン）
四凶の一人。犬の顔を持つ祅魔。
檮杌（トウコツ）
四凶の一人。風を操る女性型の祅魔。
窮奇（キュウキ）
四凶の一人。巨大な獣型の祅魔。
饕餮（トウテツ）
四凶のリーダー。データ収集を元に戦う頭脳派。
荒九年（アラクネ）
蜘蛛のような姿の祅魔。強力な毒を持つ。
以津真天（イツマデ）
鳥型の祅魔。火炎を吐く。
禍羅火（マガラビ）
炎の球を吐き出す祅魔
骸黒十字（むくろじゅうじ）
十字の形をした強力な炎を操る祅魔
七歩蛇（しちほだ）
以津真天と合体していた蛇型の祅魔。呪いの刻印を付与する。

用語

K都守護家
千年以上前に魔物を手なずけ、操る術をあみだした英雄の末裔。
祅飼の術
祅魔を自らの力として操る事が出来る術
祆魔（ヨーマ）
妖怪や悪魔のような存在。人を襲うこともあります。
あやつりの玉
祅魔を操るための呪具。
合成祆魔（キメラーマ）
特殊な術で別の祅魔と合体した人工の祅魔。
四凶（シキョウ）
祅魔の幹部的な存在。
測定器（メーテル）
祅魔の祅力を測る装置
魔道（ミクトラン）
魔物の側についた人間。
結界杭（けっかいこう）
K都内に結界を張るための源。
黒牡山（くろぼざん）
志村家当主が代々修行をする山。
階級
祅魔には10の階級が存在する。弌が最上位、拾が最下位。

読切版

連載前に、読切版が発表されています。連載版とは設定やキャラクターが異なっており、読切版では、魔物が人に取り憑いて行動するなど、よりダークな要素が強調されています。時生は一人っ子で、カトブレパスとの鎖は腕の封印の紋章から出現します。また、火車という魔物が登場します。

単行本

志村時生 ISBN 978-4-08-874459-9
ありがとう ISBN 978-4-08-874461-2

エピソード

本誌掲載時には、各話のコマの隅にサブタイトルが記載されていました。作者は師匠である荒木飛呂彦に感謝の言葉を述べており、単行本発売時には荒木が帯コメントを寄せています。

瞳のカトブレパス