瞿塘峡

瞿塘峡（くとうきょう）

瞿塘峡は、中華人民共和国の長江本流沿いに位置する壮麗な峡谷です。中国三峡の一部として、巫峡や西陵峡と共に知られており、別名として夔峡と呼ばれています。この峡谷は、重慶市の奉節県にある白帝城から始まり、巫山県の大溪鎮までの約8kmの区間を含んでいます。地形上、地元の山脈とその間を流れる長江の関係が特色を与えており、高さ1,200mを超える断崖が両側にそびえ立つ姿は非常に印象的です。

一般的に、瞿塘峡は全長は短いものの、その川幅は他の峡谷に比べて最も狭く、特に魅力的な景観を形成しています。長江は最も広い場所でも150mほどで、狭い場所では100mを切ることもあります。北側には赤甲山、南側には白塩山が位置し、これらの山々が間に挟まるようにして形成された夔門（きもん）は、「夔門天下雄」という言葉で表現される豪快な風景が広がります。この場所は、中国の10元紙幣の裏面のデザインにも用いられており、その重要性がうかがえます。2022年に白帝城と共に中国の5A級観光地に指定され、多くの観光客を惹きつけています。

名勝と観光名所

瞿塘峡には数多くの名勝がありますが、特に注目を浴びるのが白帝城です。白帝城は長江の北岸に立地し、歴史的には蜀の劉備が亡くなった地でもあります。この城は三峡の入り口を押さえる要害としての役割を果たしており、城の頂上には白帝廟があります。近年、三峡ダムの影響で長江の水位が上昇し、白帝城へ続く階段も一部水没しています。

瞿塘峡の入口付近には、分壁墻と呼ばれる白い石灰岩の崖があります。ここには「夔門天下雄」と刻まれた部分が特徴的で、古来の書家たちによる様々な文字も見られ、最古のものは宋代にまでさかのぼります。また、白塩山の断崖には「孟良梯」と呼ばれる道があり、これは古代の武将・孟良に由来する伝説が残る興味深い場所です。

伝説によれば、孟良は彼の主君であった楊業の亡骸を取り戻すためにこの梯子を作ったと言われています。今ではこの梯子を支える柱は失われ、それにより登るための足場は無くなっていますが、洞窟が開かれた場所からは多くの鍾乳石が形成されています。特に注目されるのが、鳳凰に似た10mほどの大きさの岩「鳳凰泉」です。この場所は美しい景観を持っており、多くの観光客に訪れられています。

さらに、瞿塘峡の川沿いには古くからある曳舟道もあり、この道は長江を下る船を再び上流に戻すために利用されていました。高い位置にあるため、ダムの水位上昇にもかかわらず今なお見ることができ、その歴史を感じさせます。その他にも七道門や風箱峡、犀牛望月峰など多くの見どころがあります。

看所

• - 風箱峡: 多くの洞窟が存在し、古代少数民族が残した棺と副葬品が見つかっています。
• - 文化遺跡: 大溪では新石器時代の大渓文化の遺跡があり、紀元前5000年から紀元前3000年にかけての文化の痕跡が確認されています。

瞿塘峡は自然の美と歴史的背景が見事に調和した地域であり、多くの観光客に愛され続けています。訪れる人々にとって、壮大な景観と文化的魅力は一生の思い出となるでしょう。

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