矢場町 (名古屋市)

矢場町（やばちょう）

概要

矢場町は、愛知県名古屋[[市]]中区に位置する、かつて存在した地名です。アクセントは「ば」を高く発音する低高低低で、「矢場」と略されることもあります。江戸時代から続く歴史的な地名ですが、戦後の町名変更により行政地名としては消滅しました。しかし、現在も交差点名や地域名として広く使われ、名古屋の都心部を構成する重要な地域の一つとして認識されています。

地理

旧矢場町域は、現在の大須三丁目と栄三丁目の一部に相当します。名古屋城下町の一角を占め、かつては南鍛冶屋町、末広町、三輪町、南大津町といった町丁に囲まれていました。現在、行政地名としては存在しませんが、通称としての矢場町は、栄の南に位置し、矢場町通周辺や若宮大通と大津通が交差する矢場町交差点付近（いわゆる栄ミナミと呼ばれる地域）を指します。栄と大須の中間に位置し、大津通から西に入ると矢場公園があり、さらに進むと若宮八幡社、本町通を挟んで白川公園があります。

歴史

1548年（天文17年）には、牧長義の居城である小林城が築かれましたが、1570年（元亀元年）に廃城となり、柳生利厳の屋敷を経て、1701年（元禄14年）に清浄寺となりました。

矢場町の名前は、1669年（寛文8年）に三輪神社に弓矢場が作られたことに由来します。弓矢場の西側に位置していたことから、この地域が矢場町と呼ばれるようになりました。1678年（延宝6年）に政秀寺、1695年（元禄8年）には万年寺と永昌院、1751年（寛延4年）には若宮八幡裏の地子が町屋となり、町域を拡大しました。明治時代に入ると、商業化が進む栄とともに発展し、1966年（昭和41年）に栄、1969年（昭和44年）に大須へ編入され、行政地名としての矢場町は消滅しました。

なお、東区にも矢場がありましたが、こちらが先に存在していたため「東の矢場」と呼ばれ、現在の筒井三丁目にあたる東矢場町となりました。

行政区画の変遷

1871年（明治4年）：勝鬘寺地子、慈雲庵門前を合併。
1878年（明治11年）12月20日：郡区町村編制法施行により、名古屋区矢場町となる。
1889年（明治22年）10月1日：名古屋[[市]]の市制施行により、名古屋[[市]]矢場町となる。
1908年（明治41年）4月1日：中区設置に伴い、中区矢場町となる。
1938年（昭和13年）3月15日：一部が南大津通・南鍛冶屋町へ編入。
1938年（昭和13年）11月1日：門前町の一部を編入。
1944年（昭和19年）2月11日：栄区新設に伴い、栄区矢場町となる。
1945年（昭和20年）11月3日：栄区が中区に統合され、再び中区矢場町となる。
1966年（昭和41年）3月30日：町名変更により、一部が栄三丁目となる。
1969年（昭和44年）10月21日：町名変更により、残部が大須三丁目となり廃止。

沿革

矢場町周辺は、明治時代以降、商業地として発展しました。

1911年（明治44年）4月：日進貯金株式会社が設立。
1912年（明治45年）
2月：株式会社東華銀行が名古屋支店を設置。
3月：ガス製造機器製作の関西瓦斯株式会社が設立。
6月：名港土地株式会社が設立。
1912年（大正元年）
11月：私立名古屋電気学校が設立。
12月：荷車製造業合名会社松浦車輌製造所が設立。

文化

大津通沿いは栄から続く繁華街で、松坂屋名古屋店や名古屋パルコなどの商業施設が立ち並んでいます。1996年のナディアパーク開設以降、ブランド力のある商業施設の出店が相次ぎ、Apple Storeやフレッシュネスバーガーなどが名古屋初出店を果たしました。また、この地域や隣接する大須には、CLUB QUATTROなどのライブハウスやクラブも多く、中部地方の若者文化の発信地となっています。ギターメーカーのイーエスピーもこの地域を「若者文化・音楽ファンが集合する場所、音楽好きな人には最高の環境といえる地域」と紹介しています。味噌カツで有名な矢場とん本店は矢場町交差点の南に位置し、その店名も当地の地名に由来しています。

交通・施設

鉄道・バス

名古屋[[市]]営地下鉄名城線 矢場町駅
名古屋[[市]]営バス・名鉄バス 矢場町バス停

栄駅や上前津駅も徒歩圏内にあり、場所によっては矢場町駅からよりも近い場合があります。

道路

若宮大通
大津通

史跡

臨済宗政秀寺：1553年（天文22年）に織田信長が家臣平手政秀を弔うために創建し、1612年（慶長17年）に当地へ移転。
臨済宗白林寺：1625年（寛永2年）に初代尾張藩主徳川義直が家臣成瀬正成を弔うために創建。
真宗大谷派勝鬘寺：1632年（寛永9年）に創建され、本堂、山門、太鼓楼の3棟が名古屋[[市]]有形文化財に指定。

脚注

WEB

書籍

参考文献

名古屋[[市]]会事務局 編『名古屋[[市]]会史 別巻 総合名古屋[[市]]年表（明治編）』名古屋[[市]]会事務局、1961年12月25日。
名古屋[[市]]会事務局 編『名古屋[[市]]会史 別巻第2 総合名古屋[[市]]年表（大正編）』名古屋[[市]]会事務局、1963年3月10日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 23 愛知県』角川書店、1989年。
『日本歴史地名大系 第23巻 愛知県の地名』平凡社、1981年。
名古屋[[市]]計画局『なごやの町名』名古屋[[市]]計画局、1992年。

関連項目

名古屋[[市]]の地名

外部リンク

栄ミナミWeb（日本語）
* 金シャチ商店街 南大津通商店街振興組合（日本語）

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