石塔義房

石塔義房の生涯

石塔義房（いしどう よしふさ）は、南北朝時代において重要な役割を果たした武将の一人です。彼の生没年は不詳ですが、彼が活躍したのは特に建武の大号令以降の混乱期にあたります。

義房は、建武元年（1334年）には駿河と伊豆の守護代として足利尊氏に仕官し、彼の守護職に昇進しました。この時期、彼は南北朝の動乱の中で多くの戦いに参加しています。特に、建武3年/延元元年（1336年）には駿河と伊豆の守護職を任されたという記録がありますが、翌年には解任されました。これは当時の激動の政局を反映した出来事であり、彼の運命を大きく左右することになります。

その後、義房は奥州総大将として陸奥国に派遣され、暦応元年/延元3年（1338年）には相馬胤家に軍忠状を発行し、出羽国の渋江城を攻めました。このように彼は軍事的な才能を発揮し、さらに暦応2年/延元3年（1339年）には大犬瓦楯の戦いで南朝軍と対峙します。翌年には佐竹氏と相馬氏に白河城を攻撃させ、効果的な戦略を展開しました。

義房は貞和元年/興国6年（1345年）まで東北地方で積極的に活動を続け、伊達氏や北畠顕信ら南朝方に対抗して多大な成果を挙げました。しかし、足利尊氏の独自支配の風潮が強まるにつれ、彼は解任を余儀なくされることになります。その後の1345年には一時鎌倉に住む時期もあったようです。

貞和3年/正平元年（1347年）、義房は吉良貞家や畠山国氏と共に南朝側の城を攻め落としました。観応の擾乱以降、彼は尊氏に敵対し、反尊氏勢力である足利直義に忠誠を誓います。観応元年/正平5年（1350年）12月には、相模毛利荘の湯山事件において尊氏方の高師冬から足利基氏を奪取し、事態を直義に報告しました。これにより、義房は伊豆と甲斐の守護に任命されます。

しかし、彼の栄光も長くは続きませんでした。観応2年/正平6年の1351年末には駿河薩埵山の戦いで敗北し、直義の死後は足利直冬側に付いて新田義興や新田義宗と結託し、畿内方面で戦いに挑みましたが、次第に尊氏の圧力に屈してしまいました。文和4年/正平10年（1355年）、尊氏が京都を掌握すると、義房の消息は途絶えました。彼の波乱に満ちた生涯は、南北朝時代の複雑な政治情勢と戦乱を象徴するものといえるでしょう。

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