石田雄彦

石田雄彦：不屈の闘志で競輪界を駆け抜けた名選手

石田雄彦（いしだ ゆうひこ、1934年6月13日 - 2015年11月7日）は、昭和から平成にかけて活躍した元競輪選手です。大阪府羽曳野市出身で、現役時代は日本[[競輪選手会]]大阪支部に所属していました。登録番号は2410で、日本[[競輪選手養成所]]創設以前の期前選手です。実子の石田裕紀も元競輪選手で、親子二代で競輪の世界に身を投じました。

競輪選手としての歩み

石田は和歌山競輪場で登録試験に合格し、1950年1月31日に選手登録されました。同年3月に西宮競輪場で初出走を果たし、その後は岸和田競輪場をホームバンクとして活躍しました。当初は和歌山支部所属でしたが、全盛期を過ぎてから大阪支部に移籍しています。

「無賃乗車」からの脱却

中学卒業後、父親の勧めで競輪界入りした石田ですが、当初は競輪への意欲が低く、新人時代は後方の着順がほとんどでした。当時は、連に絡まない着順には賞金が出なかったため、「無賃乗車」で競走をするケースが多かったそうです。しかし、競輪界に代謝制度が導入されることを知ると、このままでは選手生命が危ういと感じ、心を入れ替えます。大阪のスター選手であった山本清治にアドバイスを求め、金剛山での厳しい練習を重ねました。その努力が実を結び、後に大選手へと成長を遂げます。

永遠のライバル、吉田実

石田を語る上で欠かせないのが、同世代のライバル、吉田実の存在です。吉田は少年時代から草レースで活躍しており、当初はスポーツ経験の浅い石田とは大きな差がありました。しかし、選手登録は石田が半年早かったことから、吉田は石田に対して敬語を使っていたそうです。先に特別競輪（現在のGI）のタイトルを獲得したのは石田でしたが、二人は後に永遠のライバルとして、競輪界を盛り上げました。

対照的な二人の個性

几帳面な性格の吉田は、常に準備万端でレースに臨むのに対し、石田は出発直前まで準備をするような、大雑把な性格でした。また、脚質も対照的で、吉田が軽いギアでダッシュ力を活かすタイプだったのに対し、石田は大ギアを駆使した地脚型でした。そのため、吉田はダッシュ力はあるものの持久力が課題で、石田はダッシュ力は劣るものの、一度スピードに乗ると後続を寄せ付けない強みを持っていました。

「浪速のこって牛」

石田は「浪速のこって牛」というニックネームでファンに親しまれていました。「こって牛」は大阪で「暴れん坊」を意味することから、石田の豪快なレーススタイルを表していると言えるでしょう。また、石田の体格が牛に似ていたことも、ニックネームの由来として考えられます。

伝説のレース：1959年全国争覇競輪決勝

二人のライバル関係を決定づけたのが、1959年の第14回全国争覇競輪（現在の日本選手権競輪）決勝でした。前年優勝者の吉田が逃げる展開の中、石田は最終3コーナーで吉田の番手を奪い、ゴール前で競り勝ちました。この勝利で、石田は初の競輪日本一の座に輝きました。一方、吉田は連覇を逃し、悔し涙を流しました。この悔しさをバネに、吉田は翌年の大会で完全優勝を果たし、ライバルとしての意地を見せました。

石田・吉田時代

昭和30年代前半から半ばにかけて、石田と吉田は互いにタイトルを分け合う時代を築きました。二人は、松本勝明、中井光雄、山本清治といった競輪界の先駆者たちの時代を終わらせ、新たな時代を切り開いたと言えるでしょう。高原永伍が猛練習を始めたのも、この二人に勝ちたいという強い思いがあったからだと言われています。

その後も続くライバル関係

石田は1972年5月7日に通算1000勝を達成しましたが、この記録も吉田よりも先でした。しかし、生涯通算勝利数では吉田が1232勝で歴代2位、石田は1160勝で歴代4位となり、吉田が石田を上回りました。

暑さとの戦い

石田は、全国都道府県選抜競輪のタイトルだけは獲得することができませんでした。この大会が夏場に開催されていたこともあり、暑さに弱い石田は決勝で2着に終わることが多かったようです。

引退後の活動

1991年に引退した石田は、1994年に発足した日本名輪会に参加し、ファンとの交流を続けていました。ホームバンクであった岸和田競輪場では、彼の功績を称え、「石田雄彦杯」が毎年開催されています。2015年11月7日、腎不全のため81歳で亡くなりました。

主な獲得タイトルと記録

日本選手権競輪：1959年、1964年
オールスター競輪：1956年
高松宮賜杯競輪：1960年
競輪祭競輪王戦：1955年
* 年間賞金王：1958年、1960年、1964年

石田雄彦は、その不屈の精神と努力で、競輪界に大きな足跡を残しました。彼の活躍は、多くの競輪ファンにとって、永遠に語り継がれることでしょう。

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