神埼荘

神埼荘（かんざきのしょう）

神埼荘は、平安時代から室町時代にかけて肥前国（現在の佐賀県神埼市付近）に存在した荘園です。別名、神崎荘とも呼ばれ、代々皇室領として重要な地位を占めていました。

概要

神埼荘は、肥前国神埼郡に位置し、広大な規模を誇っていました。正応5年（1291年）の時点では、その面積は3000町にも及んだと記録されています。その起源は、承和3年（836年）に勅旨田となった690町に遡ります。その後、長和4年（1015年）以前に荘園として成立し、皇室領として歴代の天皇や上皇に受け継がれていきました。

領主

神埼荘は、その歴史の中で、皇室、有力な武士、そして再び皇室へと領主が変遷しました。当初は皇室領として、後白河法皇や後鳥羽上皇などが領有しました。その後、一時的に三浦氏の三浦泰村が領主となりましたが、後に再び皇室領となり、後嵯峨上皇などが領有しました。

歴史と衰退

9世紀に勅旨田荘が開発された後、背振山門の鹿路氏や廣滝氏がその経営に関与しました。また、中央から下向してきた藤原氏や平氏の一門もこの地に土着し、勢力を拡大しました。特に、藤原氏流の三瀬氏などがこの地に根を下ろしました。平安時代から平氏政権期にかけて、神埼荘は大宰府や薩摩阿多と共に日宋貿易の拠点となり、平忠盛の一族が知行しました。

11世紀から12世紀頃には、刀伊の入寇後の混乱期に、鎮西平氏の一門である伊佐平次兼輔（平兼輔）が神埼荘に土着し、神埼氏（神埼兼輔）を称したと伝えられています。平兼輔は、島津荘を開墾したとされる大宰大監平季基の子とされています。また、仁安3年（1168年）には、嵯峨源氏融流の源満末が荘官として入りました。源満末の子孫は、筑後国三潴郡蒲池の地頭となり、蒲池氏を称しました。この頃には、脊振千坊も栄え、霊仙寺跡などがその名残を伝えています。

文永・弘安の役（元寇）の後、神埼荘は恩賞地配分の対象となり、その結果、荘園は細分化されました。三島氏族（大山祇神社）の河野氏などがこの地に入りました。

南北朝時代に入ると、神埼荘は名前だけを残し、荘園としての実態は失われていきました。戦国時代には、肥前で龍造寺氏が台頭し、川上峡合戦で背振山権門が敗れたことで、神埼荘は歴史の表舞台から姿を消しました（詳細は「神代勝利」を参照）。

参考文献

『国史大辞典』(吉川弘文館)
『日本史広辞典』(山川出版社)

関連項目

日宋貿易
院政
平氏政権
源満末
* 日本の荘園の一覧

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