神癒

神癒（しんゆ）について

神癒とは、ホーリネス教会の教理において重要な位置を占める概念であり、神の力によって病気や身体の不調が癒されることを指します。この教理は、神の意志に基づく治癒の信念に根ざしており、現代のホーリネス派や聖霊派の教会においても、その実践が続けられています。また、福音派の中でも、神癒の信仰は一定の支持を得ています。

ホーリネス教会では、神癒が「四重の福音」の一部分として位置付けられています。この四重の福音は、救い、聖化、神の癒し、再臨の約束から成り立っています。その中で神癒は、信者に対する神の恩恵の一つとして大切にされています。日本福音連盟の『聖歌』の裏扉には、神癒を支える聖句が記載されており、教会の礼拝においてこの信念が表現されています。

聖書における神癒

神癒の根拠は、聖書の中に多く見ることができます。特に、出エジプト記の15章26節で「わたしは主、あなたをいやす者である」との宣言があり、イザヤ書53章4節には「まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みをになった」と記されています。また、ヤコブ書5章15節では「信仰による祈りは、病む人を回復させます」という教えがあり、神癒の概念を強く裏付けています。

新約聖書においても、マタイによる福音書がイエス・キリストの癒しの業を強調しており、イエスは多くの病人を癒したことが記されています。これはイザヤ書の預言の成就とされ、キリストが私たちの患いを担ったとのメッセージを伝えています。例えば、マタイ8章16-17節では、「夕方になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れて来た。そこで、イエスはみことばをもって霊どもを追い出し、また病気の人々をみなお直しになった」とあります。

神癒伝道者たち

歴史的に、神癒の運動に寄与した多くの伝道者がいます。著名な人物には、三谷種吉、ウィリアム・ブラナム、ゴードン・リンゼイ、A・A・アレン、オーラル・ロバーツ、T・L・オズボーン、キャサリン・クールマン、ジョン・ウィンバーなどが挙げられます。彼らはそれぞれの時代において、神の力をもって人々を癒し、信仰を深める手助けをしました。

神癒とサクラメント

神癒に関して、サクラメントとして認める教会も存在します。たとえば、ヤコブ書を根拠にサクラメントとする教会がある一方で、プロテスタントの多くは礼典としての位置付けをしていませんが、聖公会では聖奠的なものとして扱われることがあります。カトリック教会では、ヤコブ書に基づいて病者の塗油が秘跡（サクラメント）として行われ、正教会では病人への塗油と祈りを伴う聖傅機密という儀式が存在しています。

神癒という概念は、信仰と癒しに関する深い教理を持つものであり、特に現代においても多くの信者がその恩恵を求め、神との関係を深めています。

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