福原五岳

福原 五岳（ふくはら ごがく）

福原五岳は、江戸時代中期に活躍した文人画家で、享保15年（1730年）から寛政11年（1799年）まで生涯を送りました。彼は池大雅の高弟として知られ、名は元素、字は太初・子絢、号は五岳の他にも玉峰や楽聖堂などがあり、通称として大助とも呼ばれていました。出身地は備後尾道です。

略歴

五岳は京都に上り、池大雅に師事しました。彼は大雅の門下の中でも第一位と評され、その技術をさらに磨きました。大雅の強い影響を受けた五岳は、後に大坂に移り住み、大坂画壇の発展に寄与しました。特に人物画では彭城百川以来の名手として評価されており、山水画にもその腕を振るいました。また、懐徳堂や混沌詩社の著名な文化人たちとの交流もありました。彼の交友関係には三宅春楼、中井竹山、片山北海、頼春水、木村蒹葭堂、葛子琴、細合半斎、慈雲、蔀関月など多くの著名な人物が名を連ねています。

安永頃には北渡部町に住み、その後寛政の時期には本町に居を構えました。70歳でこの世を去るまで、彼は文人画家としての名声を確立し続けました。彼は下寺町の源聖寺に埋葬されています。五岳の弟子には、林閬苑、岡熊嶽、浜田杏堂、鼎春嶽、黒田綾山、岡本豊彦、広瀬臺山、平田玉蘊、松本奉時などがいました。

逸話

五岳は酒を非常に好み、その号「楽聖堂」は、中国の故事である飲中八仙歌に由来すると言われています。またある日、五岳が京都の自宅で大雅と高野山への出発準備をしていると、偶然に頼春水が訪れました。その結果、酒宴が開催され、酒が振る舞われ続けました。二人は出発のタイミングを完全に失い、小休止が長引いてしまいました。閉口した大雅は、「楽聖福先生 倒樽日為度 倒樽又倒樽 倒樽終無度」という嘆きを詠んだと伝えられています。このエピソードは五岳の酒好きぶりを象徴する寓話の一つとなっています。

作品と評価

五岳の作品は、彼の技術と感性を活かしたものばかりで、特に人物図や山水図においては多くの支持を受けてきました。彼の画風は池大雅の影響を受けつつも、独自のスタイルを掲げました。画家としての活動に加え、文人としての交遊や詩作も彼の多彩な才能の一環として評価されています。彼の作品は日本の文人画の中でも重要な位置を占めており、現代においても多くの人々に愛されています。彼の生涯を通しての文化的な貢献は、江戸時代の画壇の発展にも寄与したと言えるでしょう。

参考文献

• - 田能村竹田『山中人饒舌』
• - 『浪華郷友録』
• - 木村蒹葭堂『蒹葭堂日記』
• - 展覧会図録『南画名作展 日本の文人画』 日本経済新聞社文化事業部、1971年
• - 堺市博物館秋季特別展図録『近世の大阪画人 - 山水・風景・名所 -』 堺市博物館、1992年

もう一度検索