稲田町 (神奈川県)

稲田町（いなだまち）とは

1932年（昭和7年）6月1日から1938年（昭和13年）10月1日まで存在した、神奈川県橘樹郡の町です。現在の川崎市多摩区北部に相当します。

概要

稲田町は、橘樹郡北部に位置し、多摩川の恵みを受けた肥沃な土地が広がっていました。この地域は、古くから稲作が盛んで、特に「稲毛米」と呼ばれる良質な米の産地として知られていました。

地理

稲田町は、多摩川とその支流である二ヶ領用水に沿って発展しました。これらの河川は、農業用水としてだけでなく、交通や産業にも重要な役割を果たしていました。

河川

多摩川
二ヶ領用水

歴史

町名の由来

町名は、この地域で産出された「稲毛米」に由来します。稲毛米の名称は、橘樹郡の別名である稲毛郡、または郡北部の呼称である稲毛領に由来するとされています。

沿革

南北朝時代：宿河原の地名が記録に見られるようになります。
戦国時代：登戸の地名が史料に登場します。
江戸時代：以下の4つの村が成立しました。
登戸村（旗本河野氏知行→幕府領→幕府領、旗本朝倉氏知行）
菅村（幕府領）
宿河原村（幕府領→江戸増上寺領）
堰村（幕府領）
1868年（明治元年）：
旧暦6月17日：神奈川府の管轄となります。
旧暦9月21日：神奈川府が神奈川県に改称されました。
1874年（明治7年）：大区小区制の施行により、登戸村、宿河原村、堰村が第5大区第8小区に、菅村が第5大区第9小区に編入されました。
1875年（明治8年）：中野島村が多摩郡から橘樹郡に編入されました。
1878年（明治11年）：大区小区制が廃止され、郡区町村編制法が施行されました。
1889年（明治22年）：町村制の施行により、登戸村、菅村、中野島村、宿河原村、堰村が合併し、稲田村が成立しました。
1912年（明治45年）：多摩川の境界が変更され、東京府北[[多摩郡]]の一部を編入、一方で大字宿河原の一部を狛江村に移管しました。
1932年（昭和7年）：稲田村が町制を施行し、稲田町となりました。
1938年（昭和13年）：川崎市に編入され、稲田町は廃止されました。
1972年（昭和47年）：川崎市が政令指定都市に指定され、旧稲田町域は多摩区となりました。

交通

鉄道路線

稲田町内には、以下の鉄道が通っていました。

南武鉄道（現JR東日本）
本線（現南武線）：宿河原駅 - 登戸駅 - 中野島駅 - 稲田堤駅
小田原急行鉄道（現小田急電鉄）
小田原線：稲田多摩川駅（現登戸駅） - 稲田登戸駅（現向ヶ丘遊園駅）

京王相模原線の京王稲田堤駅は、当時は未開業でした。なお、向ヶ丘遊園は旧向丘村に所在していました。

道路

府中街道（現国道409号）

現在の町名

旧大字はそのまま引き継がれ、現在の川崎市多摩区内には旧村名がそのまま残っています。合併後、登戸の一部から登戸新町が、菅の一部から菅稲田堤、菅野戸呂、菅馬場、菅北浦、菅仙谷、菅城下が起立しました。

その他

川崎市編入後も、旧町役場のあった登戸地区を中心に「稲田」の名が公共施設などで使われていましたが、1955年に小田急電鉄が駅名を変更し、1972年の政令指定都市移行に伴い、図書館や警察署などが「多摩」の名称に変更されました。

現在、登戸地区で「稲田」の名を残すのは、一部の不動産業などごく少数です。

一方で、稲田堤駅のある菅地区では、1971年に開業した京王相模原線の駅名が「京王稲田堤駅」と名付けられ、「稲田堤」としてその名が広く使われ続けています。

関連項目

神奈川県の廃止市[[町村]]一覧

外部リンク

* 神奈川県橘樹郡稲田村 (14B0040002) | 歴史的行政区域データセットβ版 - Geoshapeリポジトリ

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