立法院 (琉球)

立法院（Legislature of the Government of the Ryukyu Islands）

立法院は、米国民政府の布令に基づき設置された、琉球政府の立法機関です。一院制を採用し、沖縄におけるすべての立法事項について権限を行使していました。しかし、その活動は米国民政府の制約下にあり、法令が無効となることもありました。

歴史

1952年4月1日、定員31人の議会として発足しました。当初は行政副主席が議長を務めていましたが、同年5月1日に議員の互選による議長・副議長制へと移行しました。その後、奄美地区の日本返還や選挙制度の変更、定員の変動などを経て、1972年の沖縄返還までその役割を担いました。

1952年4月1日：定員31人の議会として発足
1952年5月1日：議長・副議長が議員の互選となる
1953年12月26日：奄美地区が日本に返還
1954年2月1日：選挙制度が小[[選挙区制]]に変更、定員が29人に
1954年7月29日：立法院新議事堂が完成し移転
1962年2月19日：議員の任期が3年に
1965年5月28日：定員が32人に

構成

立法院は、沖縄住民の選挙によって選ばれた議員によって構成される一院制議会です。

会期

立法院は、国会や地方[[議会]]と同様に会期制を採用していました。

定例会

毎年1回、2月1日に招集され、会期は150日間でした。

臨時会

必要に応じて行政主席が招集を決定し、議員の4分の1以上の要求があれば招集が義務付けられました。会期は都度議決により決定しました。

議事進行

立法院は、委員会中心主義を採用しつつも、「読会制」を導入していました。

第一読会：法案の説明と質疑応答を行い、委員会に付託
第二読会：委員会での審査報告を受け、修正案について質疑
第三読会：法案全体の最終審議と採決

委員会

立法院には、常任委員会と特別委員会の2種類がありました。

常任委員会（1952年4月1日時点）

行政法務委員会
財政金融委員会
商工資源委員会
文教更生労務委員会
運輸通信工務委員会
予算決算委員会
議会運営委員会
懲罰委員会

常任委員会（1972年5月14日時点）

行政法務委員会
内政委員会
文教社会委員会
経済工務委員会
予算決算委員会
議会運営委員会

権限

立法権

米国民政府の制約下ではありましたが、法律に相当する事項について立法権を行使しました。制定された法令は米国民政府の承認を経て施行され、旧日本法に優先しました。罰則に関しても、日本の地方[[議会]]のような制限はなく、理論上は死刑を含む刑罰も定められました。

規則制定権

立法院の会議や内部規律に関する規則を制定する権限を有していました。

行政主席指名権

自治権の拡大に伴い、行政主席を指名する権限を持つようになりました。その後、行政主席公選制の導入により発展的に解消されました。

歴代議長と副議長

以下は歴代の立法院議長と副議長です。

歴代立法院議長

初代 - 泉有平（1952年4月1日-1952年4月30日）※行政副主席
2代 - 護得久朝章（1952年5月31日-1953年12月26日）
3代 - 平良幸市（1954年4月5日-1954年9月13日）
4代 - 大濱國浩（1954年9月13日-1956年3月31日）
5代 - 與儀達敏（1956年4月12日-1958年3月31日）
6代 - 安里積千代（1958年4月7日-1960年11月30日）
7代 - 長嶺秋夫（1960年12月1日-1967年5月12日）
8代 - 山川泰邦（1967年5月12日-1968年11月30日）
9代 - 星克（1968年12月7日-1972年5月14日）

歴代立法院副議長

初代 - 平山源宝（1952年5月1日-1953年12月26日）
2代 - 宮城正行（1954年4月15日-1954年9月13日）
3代 - 長嶺秋夫（1954年9月13日-1960年11月30日）
4代 - 山川泰邦（1960年12月1日-1967年5月12日）
5代 - 上原重蔵（1967年5月12日-1968年11月30日）
6代 - 伊芸徳一（1968年12月1日-1972年5月14日）

事務局機構

1972年5月14日時点での事務局機構は以下の通りです。

総務部
総務課
経理課
管理課
議事記録部
議事課
記録第一課
記録第二課
法制部
法制室
立法考査課
行政法務調査室
内政調査室
文教社会調査室
経済工務調査室
予算決算調査室
図書館

特徴

立法院議員には、国会議員と同様に不逮捕特権と免責特権がありました。また、各議員には個室が割り当てられていました。

旧立法院議事堂解体問題

立法院議事堂は、復帰後も県議会棟として使用されましたが、1999年に解体されました。

脚注

参考文献

沖縄県議会事務局調査課 編『立法院誌』沖縄県議会事務局、1973年3月。NDLJP:11931737。
照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。NDLJP:9775065。

関連項目

アメリカ合衆国による沖縄統治
アメリカ施政権下の沖縄の法令
立法院法
立法院議員選挙法
立法院議員選挙
沖縄県議会

外部リンク

沖縄県公文書館
立法院議事堂保存・再生問題

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