竹澤恭子

竹澤 恭子

竹澤 恭子（たけざわ きょうこ）は、1966年10月30日に愛知県大府市で生まれた、日本を代表するヴァイオリニストの一人です。幼少期から非凡な才能を示し、国内外の舞台で活躍してきました。

幼少期から学生時代

わずか3歳でヴァイオリンを手にした竹澤は、才能教育研究会（スズキ・メソード）東海支部にて山村晶一に師事しました。小学1年生の頃には早くも「スズキ・チルドレン」に選ばれ、4年連続で欧米への演奏旅行に参加するなど、幼いながらに国際的な経験を積みました。その後、小林健次にも師事。小学校5年生だった1977年には、第31回全日本学生音楽コンクール全国大会小学生の部で見事第1位に輝き、その将来性を高く評価されました。大府市立大府中学校に進学後、中学2年生の時には名古屋市でデビューリサイタルを開催し、プロの演奏家としての第一歩を踏み出しました。

高校時代から国際舞台へ

1982年、中学を卒業すると単身東京へ渡り、桐朋女子高等学校音楽科に入学。同年には、日本のクラシック音楽界における最高峰の一つである第51回日本音楽コンクールで第1位を受賞し、国内での評価を不動のものとしました。1983年にはアスペン音楽祭に参加し、世界的なヴァイオリン教師であるドロシー・ディレイと、川崎雅夫に師事する機会を得ました。翌1984年もアスペン音楽祭に参加し、コンチェルト・コンペティションで優勝。これを機に、アスペン音楽祭オーケストラとの共演でブラームスのヴァイオリン協奏曲を演奏しました。帰国した秋には、海外派遣コンクールで入賞を果たし、さらに指揮者ペーター・マークとの共演を通じて、彼が音楽監督を務めていたベルン交響楽団から招待を受けるなど、国際的な活動の場を広げていきました。

アメリカ留学と世界での活躍

1985年、さらなる研鑽を積むためジュリアード音楽院に入学。翌1986年6月には第8回チャイコフスキー国際コンクールへの出場を予定していましたが、同年4月に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の影響を考慮し、惜しくも出場を断念しました。しかし、同年9月に開催された第2回インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールに挑戦し、堂々たる第1位の栄冠に輝きました。この優勝が転機となり、コンサート・アーティストとしての本格的な演奏活動を開始。1988年には、世界的な指揮者であるズービン・メータ率いるニューヨーク・フィルハーモニックとの共演を皮切りに、音楽の殿堂カーネギー・ホールや、日本の主要なコンサートホールであるサントリーホールでの華々しいデビューリサイタルを成功させるなど、世界の主要な舞台でその才能を発揮していきました。

受賞歴と近況

その功績に対し、1993年には出光音楽賞および愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞しています。私生活では、2004年6月7日に第一子を出産。現在はパリを拠点に活動しています。出身地である愛知県大府市との関わりも深く、2019年2月5日からは大府市の広報大使を務め、2021年7月18日には大府市民栄誉賞を受賞しました。また、2025年5月には中日文化賞を受賞するなど、現在も精力的に活動を続けています。

主要なレコーディング

竹澤恭子は数多くの録音を発表しており、その幅広いレパートリーと卓越した演奏技術を音源で楽しむことができます。

チャイコフスキー：ヴァイオリン協奏曲（1991年、BMG、ウラディミール・フェドセーエフ指揮モスクワ放送交響楽団）
バルトーク：無伴奏ソナタ（1991年、BMG、ピアノ：フィリップ・モル）
フランス・ヴァイオリン・ソナタ集（1993年、BMG、ピアノ：ロハン・デ・シルバ）
エルガー：ヴァイオリン協奏曲（1994年、コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団）
バルトーク：ヴァイオリン協奏曲第2番（1993年、BMG、マイケル・ティルソン・トーマス指揮ロンドン交響楽団）
メンデルスゾーン：ヴァイオリン協奏曲集（1994年、BMG、クラウス・ペーター・フロール指揮バンベルク交響楽団）
ブラームス：ヴァイオリン協奏曲（1995年、コリン・デイヴィス指揮バイエルン放送交響楽団）
プロコフィエフ：ヴァイオリン・ソナタ集（1997年、BMG、ピアノ：アレクサンダー・マッジャー）
ロマンツァ（2003年、BMG、ピアノ：江口玲）
T's（岩代太郎&竹澤恭子）：アリア・オン・ザ・ストリングス（2003年、朗読：富田靖子）

これらの録音は、竹澤恭子のキャリアにおける重要な証であり、彼女の音楽性の深さを示しています。

国内外で確固たる地位を築いた竹澤恭子は、これからもその豊かな音楽性で多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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