竹生島

竹生島：琵琶湖に浮かぶ神宿る島

概要

竹生島（ちくぶしま）は、滋賀県長浜市に属する琵琶湖北部に位置する無人島です。琵琶湖で2番目に大きな島であり、その全域が琵琶湖国定公園の特別保護地区に指定されています。また、国の名勝および史跡としても保護されており、2015年には「琵琶湖とその水辺景観－祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財として日本遺産にも認定されました。島全体が花崗岩で形成され、切り立った岩壁と針葉樹に覆われた美しい景観が特徴で、琵琶湖八景の一つ「深緑 竹生島の沈影」としても知られています。

地理的特徴

葛籠尾崎の南約2kmに位置し、島の周囲は約2km、面積は0.14平方キロ[[メートル]]、標高は197mです。島全体が花崗岩の一枚岩でできており、周囲は切り立った岩壁に囲まれています。湖底は深く、西岸付近には琵琶湖の最深部（104.1m）があります。島の南側には竹生島港があり、各港からの定期船が発着します。港周辺には、宝厳寺や都久夫須麻神社、土産物店などが点在しています。これらの施設の関係者は島外から通勤しており、夜間は宿直者が滞在しています。

島の南岸から西側にかけては、笈岩、屛風岩、富士岩などの奇岩が連なり、雄大な断崖が広がります。東側には仁王崎が突き出し、その根元には都久夫須麻神社本殿、先端には神社拝殿と聖武天皇供養塔があります。さらに東には屛風岩、北東には小島があり、北側の崖には行者洞と呼ばれる洞窟が開いています。北西には唯一の砂浜である弁天浜があります。また、2015年には竹生島のタブノキ林が滋賀県天然記念物に指定されました。

地質と植生

竹生島を形成する花崗岩は、約5700万年前の白亜紀末に、ユーラシア大陸東縁部で形成されたものです。その後、日本列島が大陸から分離し現在の位置に移動する過程で、上部の緑色岩類が侵食され花崗岩が露出しました。この花崗岩には節理が発達しており、地震や波の作用によって岩盤が落下し、大小の洞窟が形成されています。かつては島全体が常緑樹に覆われていましたが、カワウの繁殖による糞害によって、その景観は大きく変化しました。

カワウの繁殖以前は、シラサギの大繁殖地であり、特にシラサギ類とゴイサギのコロニーは湖北地方で唯一のものでした。しかし、現在ではカワウによる被害が深刻化しており、木々の枯死や水質汚染が問題となっています。一方、島内にはヤマガラやメジロなどの野鳥も生息しており、自然環境の多様性が確認されています。

カワウによる糞害

竹生島の北部には約2万羽のカワウが生息しており、その糞害によって木々が枯死し、景観が大きく損なわれています。この問題は近年深刻化しており、水質汚染も進行しています。もともと琵琶湖にはカワウは少なかったのですが、1977年以降に急増し、一時は3万から4万羽に達しました。滋賀県は対策として、営巣妨害や有害鳥獣駆除を実施していますが、カワウの生息地は分散傾向にあり、問題の解決には至っていません。

湖底遺跡

竹生島周辺の湖底には、縄文時代から中世までの土器や陶器が発見されている湖底遺跡があります。これらの遺跡は、津波や船の沈没、祭祀行為など、様々な原因によって形成されたと考えられていますが、詳しいことはまだ解明されていません。湖底の調査は困難を極めるため、ロボットによる探査が計画されています。このような湖底遺跡は世界でも例がなく、その謎は深く、多くの研究者の興味を引いています。

歴史と伝承

竹生島は古くから信仰の対象とされており、奈良時代には行基上人が四天王像を安置したことが竹生島信仰の始まりとされています。島には都久夫須麻神社と宝厳寺があり、明治の神仏分離令以前は神仏習合の聖地でした。竹生島弁才天は、江島神社、厳島神社と並び日本三大弁才天の一つに数えられています。戦国時代には、浅井久政がこの島に幽閉されたり、織田信長が参詣したりするなど、歴史の舞台にもなりました。

竹生島には、伊吹山の神と浅井岳の神が高さ比べをしたという伝承や、坂上田村麻呂と鈴鹿御前の物語も伝えられています。また、中世には西日本の地震に関する聖地とされ、大地の底から生えた金剛宝石の柱であると信じられていました。

文化

竹生島は、能や平曲、近世邦楽など様々な芸能・音楽の題材にもなっています。能の演目「竹生島」をはじめ、平曲「竹生島詣」や、地歌・箏曲「竹生島」などがあります。

文化財

竹生島には、国宝である都久夫須麻神社本殿や宝厳寺唐門をはじめ、多くの重要文化財が残されています。これらの文化財は、島の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。

アクセスと拝観料

竹生島へは、長浜港、今津港、彦根港などから定期船が運航しています。島への上陸は無料ですが、宝厳寺と都久夫須麻神社の境内に入るには拝観料が必要です。

定期船

長浜港から琵琶湖汽船で約35分
今津港から琵琶湖汽船で約30分
彦根港からオーミマリンで約40分
海津大崎からオーミマリン春季臨時便で約25分

拝観料

大人（中学生以上）：600円
小人：300円
宝厳寺宝物殿：大人300円、小人250円（別途）

関連項目

宝厳寺
琵琶湖
沖島
多景島
矢橋帰帆島
沖の白石
日本の秘境100選
竹生島流
滋賀県道319号竹生島線
偉大なる、しゅららぼん
琵琶湖周航の歌
要石

外部リンク

地図閲覧サービス2万5千分1地形図名:南浜(岐阜)
竹生島神社（都久夫須麻神社）
宝厳寺（西国三十三箇所三十番）
オーミマリン
琵琶湖汽船
* 竹生島 - 国指定文化財等データベース（文化庁）

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