笠井庄兵衞

笠井庄兵衞について

笠井庄兵衞（かさい しょうべえ、1828年 - 没年不明）は、幕末から明治にかけて活躍した日本の政治家、資産家、実業家、慈善家、そして地主です。東京府会議員、東京市会議員を務め、麻布区（現在の東京都港区の一部）の発展に大きく貢献しました。また、旧皇族の伏見宮家と縁戚関係にありました。

麻布区の発展への貢献

笠井庄兵衞は、教育とインフラ整備に並々ならぬ情熱を注ぎました。1875年には、麻布区内の公立小学校（現在の港区立麻布小学校）の設立を主導し、地域の教育の向上に貢献しました。さらに、麻布区の下水道整備にも尽力し、その基礎を築いた一人として知られています。1879年には、麻布区初代区長らと共に、下賜金を基に水道開設を企画。麻布、赤坂、芝の3区への給水を計画しましたが、麻布区が工事を施行しました。約2万円の予算で、1880年に着工、1881年に完成しました。また、1884年には芝麻布共立幼稚園の設立にも協力しました。

実業家・資産家としての顔

笠井庄兵衞は、中規模の地主でありながら、質屋も経営していました。骨董品の展示も行っていた記録が残っています。1887年の所得税調査委員選挙の際には、地価681円を保有しており、これは現在の価値に換算すると、年間1362万円の土地代に相当します。さらに、東京電燈の株主としても名を連ね、全体の3.5%にあたる70株を所有していました。これは現在の価値で約1400万円に相当します。

政治家としての活動

1889年には、東京市区改正委員会に第一期東京市議会議員として選出され、都市計画にも関与しました。当時の所得税調査委員は「名誉職」とされ、社会的地位の高い人々が任命されていたことからも、笠井庄兵衞の社会的な影響力の大きさが伺えます。また、東京商工会議所の会員として渋沢栄一らと交流がありました。

選挙歴

1878年12月：第二期東京府会議員選挙 麻布区1級当選
1828年8月24日：麻布区学務委員 選任
1882年2月27日：第三期東京府会議員選挙 麻布区1級当選
1887年：第一期所得税調査委員選挙 所得税調査委員（麻布区）当選5等級 東京府会議員兼務
* 1889年5月：制限選挙第一期東京市会議員選挙 麻布区1級当選

家族・親族

笠井庄兵衞の家族には、内山熊手（養蚕業）と結婚した次女きせ、大木良輔（実業家）と結婚した三女よしがいます。また、孫にきせの次女であるいとがいます。親族には、大木良輔の弟である狩野宗三がおり、狩野宗三の妻である勝は浅田徳則の四女です。さらに、浅田徳則の次女であるみつの夫は渡干城です。渡干城の父は渡正元（貴族院議員）で、母は松根セツ（松根図書の子女）です。渡干城の兄弟には、渡左近、渡久雄、渡正監らがいます。

縁戚関係

笠井庄兵衞は、渡干城の母セツの義理の兄である伊達宗淳（男爵）を通して、宇和島藩主の伊達宗城、真田幸教（松代藩主）、広幡忠礼（公卿）、島津忠麿（伯爵）、清棲幸保（伯爵）など多くの華族と縁戚関係にあります。清棲幸保の妻は旧皇族の伏見宮敦子女王です。このように、笠井庄兵衞は幅広い人脈を持ち、その社会的な影響力の大きさを物語っています。

笠井庄兵衞は、政治家、実業家、慈善家として多岐にわたる分野で活躍し、麻布区の発展に貢献した人物です。その功績は、現代にも語り継がれています。

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