第一丁卯

第一丁卯（だいいちていぼう）

第一丁卯は日本海軍に所属した軍艦で、元々は長州藩によって発注された三檣スクーナー型の木造汽船です。「丁卯」は干支の一つであり、幕末では1867年にあたります。この年にイギリスで建造された艦船は、後に「第一丁卯」と「第二丁卯」と名付けられ、長州藩の命名法則に従い、建造年をもとに区別されました。

艦型と要目

艦の主要寸法については資料によって若干の差異がありますが、以下は一次史料や文献から得られた寸法です。

• - 長さ: 126フィート（約38.40メートル）
• - 幅: 21フィート（約6.40メートル）
• - 排水量: 一部の資料では125トンとされていますが、寸法との整合性から疑問視されることもあります。

艦歴

第一丁卯は長州藩が1866年にグラバーと契約を結び、15万ドルで「第二丙寅丸」を売却し、その資金を用いて合計25万ドルで建造された2隻の艦船に含まれています。この契約の仮称は「ヒンダ」であり、1868年の1月から2月に長州藩の艦として購入されました。当初は「丁卯丸」と呼ばれていました。

1868年の2月20日には明治政府に徴発され、同年の5月には寺泊沖海戦において旧幕府船を自沈に追い込みました。また、1869年の4月には函館へ向けて出港し、箱館湾海戦にも参加しました。このように第一丁卯は幕末から明治初期にかけ日本の艦隊にとって重要な役割を果たしました。

1870年には政府に献納され、その後「第一丁卯（艦）」と改名されました。同年の夏に、イギリスの測量船とともに南海の測量を開始し、同年の11月に測量を終えて神戸に到着しています。

明治4年の5月には、小艦隊の編成に参加し、分隊として指定されました。明治5年には西海巡幸の警護艦として任務を果たし、数度の出港と帰港を繰り返しました。その後、1873年には艦隊から除外され、測量艦として新たな任務が与えられました。

しかし、1875年の夏、択捉島への派遣中に濃霧で針路を誤り、座礁して破壊されてしまいました。この事故は、当時の艦長であった坪井航三の記録に残されており、後の彼の海軍での活躍を考えると興味深い出来事となっています。艦長としての任務を果たした後、1887年には臨時裁判が開かれ、当艦の運命が論じられました。

艦長と船将

第一丁卯には複数の艦長が任命されています。以下に主要な艦長を示します：

• - 山縣久太（明治2年）
• - 杉盛道（1870年 - 1871年）
• - 伊東祐亨（1871年 - 1872年）
• - 磯辺包義（1872年）
• - 浅羽幸勝（1872年 - 1873年）
• - 中村雄飛（1873年）
• - 磯邉包義（1873年 - 1874年）など

結論

第一丁卯は、日本海軍の初期の艦船として、数々の歴史的な出来事に関与しました。その艦歴は、長州藩から明治政府における艦隊編成に至るまで、当時の日本の海軍力の変遷を物語っています。艦名に込められた思想やその活躍は、今もなお日本の海軍史において重要な位置を占めています。

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