第二院 (イングランド共和国)

第二院の概要と意義

第二院（Other House）は、清教徒革命期のイングランド共和国に存在した議院であり、護国卿であるオリバー・クロムウェルによって設立されました。この政治機関は、統治章典に代わる形で制定された「謙虚な請願と勧告」に基づいており、1658年から1659年にかけて活動しました。

当時のイングランド及びウェールズ、スコットランド、アイルランドにわたる法律を制定し、実質的には二院制議会の上院としての役割を果たしました。第二院には日本語での別称として貴族院または旧上院、英語ではHouse of Lordsや他院（Other House）などがあります。

経過と設立の背景

1556年に召集された第二議会は、その後の1657年に反発の声が高まり、結果的に廃止されたものの、その過程で急速に変化が求められました。特に、社会的安定と伝統に回帰しようとする声が高まり、かつての王政を構成していたコモン・ローに基づく「古来の国制」への回帰が模索されたのです。このような流れの中で、クロムウェルの国王即位の運動が活発化しましたが、彼はそれを拒否し、結果として即位には至りませんでした。

しかし、5月25日に策定された「謙虚な請願と勧告」により、上院である第二院が再び議会に復活、議会は下院だけでなく二院制に戻ることが実現しました。同時に、国務会議は枢密院に改称され、議会の権限強化も図られました。この一連の流れは、王政復古へと向かう重要な一歩と見られています。

議員の選出と構成

1658年の議会休会期間中、クロムウェルは上院に設置される第二院の議員選出に注力し、最初の定員は40名から70名とされました。議員は護国卿によって下院の同意を必要とし、最終的に63名が任命されました。しかし、共和派のアーサー・ヘジルリッジのように任命を拒否する者が多く、実際には42名にまで減少しました。

この第二院は、クロムウェルの親族であるチャールズ・フリートウッドや側近、下院で親クロムウェル派の議員、ニューモデル軍から選ばれた軍人たちによって構成されました。このため、政府寄りの姿勢を示し、下院を牽制する動きが見られました。

下院との対立と解散

一方で、下院は第二院への議員転出によって空いた議席を埋めるための補欠選挙を実施し、反政府的な共和派議員や歴史的に排除された政治家たちが再び出入りすることになりました。その結果、再開した議会は共和派やその他の反対派によって占められる事態となりました。

ヘジルリッジたち共和派は、第二院に関する名称や権利、正統性の問題を議論し上院の名称を「貴族院」にするか「もう一つの議院」と呼ぶかで意見が対立しました。この争いは深刻なものとなり、最終的には2月4日にクロムウェルによって第二議会は解散されることになりました。

第三議会とその後

第三議会は1659年の1月27日から4月22日まで、第二院を含む二院制で開会されましたが、下院の共和派議員が第二院の一部議員を疑惑の対象とし、議会は停滞状態に陥りました。軍の解散を模索する下院に対し軍が反発し、結局、リチャード・クロムウェルによって第三議会は解散となり、第二院は再設されることはありませんでした。

まとめ

第二院は清教徒革命の中で生まれた重要な政治機関であり、イングランドの政治制度における変遷や当時の権力闘争を象徴しています。さまざまな議論を巻き起こしたその存在は、王政復古への流れの中で重要な役割を果たしました。特に、クロムウェルの死後、イギリス社会における権力関係の変化を考える上で、この時期の第二院の存在は一つの大きな転機として捉えられるでしょう。

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