第五共和国 (大韓民国)

大韓民国の第五共和国

大韓民国、正式名称を대한민국（韓国語：大韓民國）と称し、国の標語は「正義社会の具現」です。また国歌は「애국가」（愛国歌）であり、韓国のアイデンティティと価値観を体現しています。

成立の背景

第五共和国は1981年3月から1988年2月までの間に存在した政体です。この時期の始まりは1979年10月26日にさかのぼります。この日、当時の大統領であった朴正煕が暗殺され、後任として崔圭夏が大統領に就任しました。しかし、彼の統治は長く続かず、同年12月12日に全斗煥将軍によって行われた粛軍クーデターによって政権が掌握されました。全斗煥は新たに形成された軍部勢力と共に強大な権力を手に入れます。

当時の市民社会では、独裁的な支配に反対する抗議活動が広まりました。特に大学生や労働組合が中心となり、規模の大きなデモが起きました。それに対抗し、全斗煥は1980年5月17日に戒厳令を宣言し、民主化運動を厳しく弾圧しました。特に、光州事件は学生たちの抵抗に対して軍隊が暴力を用いた結果、多くの亡くなる人々を出す惨劇となりました。

政治体制の特徴

1980年8月16日、崔圭夏が辞任し、その後、全斗煥が第11代大統領に就任します。続けて行われた憲法改正で、大統領の7年任期と再選禁止規定が設けられました。この改正により、大統領中心の政治体制が強化されましたが、内閣制の要素も取り入れられ、国会の同意が必要とされる場合もありました。実際に、議案の提出や重要な政策に関する国民投票にも関与する形で、相互のチェック機能が持たれました。

また、大統領選挙は間接選挙が採用され、大統領の任期中に憲法を改正して再選を目指すことはできない規定となっていました。これにより、政権交代の安定を図る一方、権力の集中が懸念されました。

内政と外交

内政において、全斗煥政権は経済発展に成功しましたが、国民の民主化への期待に応えられませんでした。政府に対する抗議活動は続き、全政権は「正義社会の具現」をスローガンとし、国民の関心を政治からスポーツへと向ける施策である3S政策が打ち出されました。この時期にプロ野球が始まり、1988年にはソウルオリンピックが開催され、外交的な成功も収めました。

外交面では、ソウルオリンピックの開催決定によって、国際的な地位向上を果たしましたが、対北朝鮮関係は緊張を伴いました。1983年の大韓航空機撃墜事件や、ラングーン事件を含む一連の事件は、南北関係を一時的に悪化させました。一方で、85年には離散家族の相互訪問が実現し、関係改善の兆しも見られましたが、87年の大韓航空機爆破事件で再び緊張に陥ります。

終焉

1987年、朴鍾哲の拷問致死事件を契機に、大学生たちの抗議運動が拡大しました。民衆の怒りは結集し、6月抗争が発生。その中で全斗煥政権が最大の危機に直面した結果、民主正義党の盧泰愚候補による定額的な民主化宣言が発表され、1988年には民主的な選挙を実施することで第五共和国は終わりを迎えました。このようにして、大韓民国の歴史における第五共和国の時代は、波乱に満ちた政治的背景とともに語り継がれています。

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