第十一航空艦隊 (日本海軍)

第十一航空艦隊：大日本帝国海軍の航空戦力

第十一航空艦隊（11AF）は大日本帝国海軍の航空部隊であり、太平洋戦争において重要な役割を果たしました。従来、陸上基地航空兵力は各艦隊や鎮守府に所属していましたが、1940年の昭和十六年度帝国海軍作戦計画において、母艦航空艦隊と基地航空部隊を分離し、基地航空部隊を統合した第十一航空艦隊が新編されました。これにより、基地航空部隊の戦略的運用が可能となり、大規模な航空作戦の実施が可能となりました。

編成と指揮系統

1941年1月15日、連合艦隊に所属していた第一、第二、第四連合航空隊を統合し、第十一航空艦隊が正式に発足しました。初代司令長官には片桐英吉中将が就任しました。艦隊の編制は、複数の航空戦隊と、それらを支援する艦船から構成されていました。航空戦隊には、各地の海軍航空隊が所属し、それぞれ独自の任務を担っていました。

第十一航空艦隊の創設は、基地航空部隊の指揮系統を整備し、その戦力を最大限に活用するための重要な一歩でした。統一された指揮系統の下、部隊の移動性と攻撃範囲を活かし、必要な時に必要な場所に戦力を集中できるようになりました。また、広範囲にわたる飛行哨戒も効率的に行えるようになりました。さらに、艦隊としての編成は、管理、教育訓練、補給の効率化にも貢献し、部隊の士気向上にも繋がりました。

日中戦争における活動

1941年4月、第十一航空艦隊は増強され、日中戦争における作戦に参加しました。特に、第二十二航空戦隊は支那方面艦隊の指揮下で、四川省方面の作戦に従事し、重慶に対する空襲を強化しました。この中には、従来の九六式陸上攻撃機に代わる新型の一式陸上攻撃機による攻撃も含まれていました。一式陸攻の初出撃は1941年7月27日、高雄空から実施されました。しかし、7月30日には、鹿屋空の陸攻隊がアメリカ軍の砲艦ツツイラ号を誤爆する事件も発生しています。この事件は日米関係の緊張を高め、後の太平洋戦争勃発にも影響を与えたとされています。

102号作戦では、陸軍航空部隊との協同作戦も実施されましたが、南部仏印進駐やツツイラ号事件の影響を受け、8月末に作戦は終了しました。その後、第十一航空艦隊の主力部隊は内地へ引き揚げました。

太平洋戦争における活動

太平洋戦争開戦後は、フィリピン、マレー、ジャワなどへの進出作戦に参加し、南方作戦の航空作戦を支援しました。ガダルカナル島の戦いが始まる際には、司令部はテニアン島からラバウルへと移動し、南東方面の航空作戦を指揮しました。1942年12月には南東方面艦隊が編成され、第十一航空艦隊はその隷下となりました。トラック島への撤退後、本土からの補給が途絶えたため、自給自足の生活で終戦まで部隊を維持することになりました。

編制の変遷

第十一航空艦隊の編制は、戦争の推移とともに変遷を繰り返しました。初期の編制は、複数の航空戦隊と、それらを支援する艦船から成り立っていました。戦争が進むにつれて、航空戦隊の所属航空隊や所属艦船、さらには付属部隊も変化し、戦況に合わせた柔軟な対応が図られていました。

要職者

第十一航空艦隊には、多くの優秀な海軍軍人が勤務していました。司令長官には片桐英吉中将、塚原二四三中将、草鹿任一中将などが就任しました。参謀長にも、大西瀧治郎少将、酒巻宗孝少将、中原義正少将、草鹿龍之介少将、富岡定俊少将、入船直三郎少将など、多くのベテラン幕僚が配置され、艦隊の運営を支えました。

結語

第十一航空艦隊は、太平洋戦争における日本海軍の航空戦力の中核を担った部隊でした。その活動は、日中戦争から太平洋戦争にかけて、日本海軍の作戦に大きな影響を与えました。基地航空部隊の統一指揮という新たな試みを行い、戦争の激化とともにその編制や役割を変化させながら、終戦まで戦い続けました。その歴史は、太平洋戦争を理解する上で重要な要素です。

もう一度検索