第1次メイ内閣

第1次メイ内閣：ブレグジット後のイギリス政治の幕開け

2016年7月、デービッド・キャメロン首相の辞任を受け、保守党のテリーザ・メイがイギリスの新首相に就任。これにより発足した第1次メイ内閣は、国民投票によるEU離脱決定後の混乱期におけるイギリス政治を担うこととなりました。本内閣は保守党単独内閣であり、2015年総選挙の結果を踏まえ、キャメロン内閣の後を引き継いだ形となります。

閣僚人事と新たな体制

メイ首相はまず、主要閣僚の人事を発表しました。フィリップ・ハモンドを財務大臣、アンバー・ラッドを内務大臣、ボリス・ジョンソンを外務大臣に任命。国防大臣にはマイケル・ファロンが留任しました。注目すべきは、新たに設置されたEU離脱担当大臣にデイヴィッド・デイヴィス、国際貿易大臣にリアム・フォックスが就任したことでしょう。この人事から、メイ政権がブレグジットを最優先課題と捉えていることが明確に示されました。

続く発表では、ジャスティン・グリーニングが教育大臣に昇進、プリティ・パテルが国際開発大臣に、エリザベス・トラスが司法大臣に就任。保守党党首選でメイと競ったアンドレア・レッドサムは環境大臣に任命されるなど、新たな顔ぶれも加わりました。その他、ジェームス・ブロークンシャー（北アイルランド大臣）、カレン・ブラッドリー（文化・メディア・スポーツ大臣）、ダミアン・グリーン（労働年金大臣）、クリス・グレイリング（運輸大臣）、サジード・ジャビド（コミュニティ・地方自治大臣）といった人事が行われ、キャメロン内閣からの留任組も複数存在しました。

一方、ジョージ・オズボーン（前財務大臣）、マイケル・ゴーヴ（前司法大臣）、ジョン・ウィッティングデール（前文化・メディア・スポーツ大臣）、ニッキー・モーガン（前教育大臣）、オリバー・レットウィン（前ランカスター公領大臣）といったキャメロン内閣の閣僚らは、メイ内閣から外されました。この大胆な刷新は、メイ首相が新たな政治路線を打ち出す決意を示すものだったと言えるでしょう。

さらに、メイ首相はフィオナ・ヒルとニック・ティモシーをダウニング街首席補佐官に任命しました。両名は、メイ首相が内務大臣だった時代からの側近であり、その信頼の厚さがうかがえます。

2017年総選挙と少数与党政権

2017年6月に行われた総選挙で、保守党は過半数議席を確保することができず、いわゆる「ハング・パーラメント」の状態となりました。この結果を受け、メイ首相は民主統一党との閣外協力により少数与党政権を維持する道を選び、第2次メイ内閣が発足します。第1次メイ内閣は、この総選挙の結果をもってその幕を閉じました。

閣僚たちのその後とスキャンダル

第1次メイ内閣の閣僚の中には、その後もイギリス政界で重要な役割を果たした人物もいれば、スキャンダルに巻き込まれた人物もいます。例えば、アンバー・ラッド内務大臣は、過去にタックスヘイブンであるバハマに設立された法人の役員を務めていたことが発覚し、批判を浴びました。このように、第1次メイ内閣は、ブレグジットという歴史的転換期におけるイギリス政治の複雑さと、政治家を取り巻く様々な問題を象徴する存在であったと言えるでしょう。

まとめ

第1次メイ内閣は、EU離脱決定後の混乱期に誕生し、ブレグジット対応に奔走した政権でした。大胆な閣僚人事、そして総選挙での敗北と続く少数与党政権への移行は、イギリス政治史において重要な転換期を示す出来事となりました。この内閣の動向と閣僚たちのその後を追うことで、現代イギリス政治の複雑な様相を深く理解することができるでしょう。

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