第15師団 (日本軍)

第15師団

第15師団は、大日本帝国陸軍に存在した師団の一つで、その歴史は二つの異なる時期に分かれます。第一次編成は日露戦争中、第二次編成は日中戦争勃発後にそれぞれ行われました。

第一次編成 (1905年 - 1925年)

創設と初期

1905年（明治38年）4月1日、日露戦争の激化に伴い、日本本土の守備を担う師団の必要性から、愛知県豊橋市で第15師団は編成されました。日露戦争終結後、講和条約に基づき朝鮮半島の警備任務に就きました。

1907年、師団は輜重兵第15大隊を除き、千葉県習志野へ移転しました。輜重兵第15大隊は東京の陸軍戸山学校構内へ移動。1908年には、師団司令部が愛知県渥美郡高師村に移転し、業務を開始しました。1913年には、名古屋市周辺で行われた陸軍特別大演習に東軍として参加しました。

兵器部と師団の終焉

1918年、師団司令部内に兵器部が移転し業務を開始。しかし、1925年（大正14年）に加藤高明内閣による軍縮政策（宇垣軍縮）により、第15師団は第13・第17・第18師団と共に廃止されることになりました。第一次編成の第15師団の跡地には、近衛篤麿らが設立した東亜同文書院大学の後身である愛知大学が設立されました。

歴代師団長

沖原光孚 中将：1905年7月17日 - 1906年7月6日
平佐良蔵 中将：1906年7月6日 - 1907年1月28日
中村覚 中将：1907年1月28日 - 1908年12月29日
内山小二郎 中将：1909年1月14日 - 1912年11月27日
井口省吾 中将：1912年11月27日 - 1915年1月25日
由比光衛 中将：1915年1月25日 - 1917年8月6日
久邇宮邦彦王 中将：1917年8月6日 - 1918年8月9日
尾野実信 中将：1918年8月9日 - 1919年11月25日
市川堅太郎 中将：1919年11月25日 - 1922年8月15日
田中国重 中将：1922年8月15日 - 1925年5月1日（廃止）

歴代参謀長

飯田左門 歩兵大佐：1905年7月17日 - 1907年10月22日
白井二郎 歩兵中佐：1907年10月22日 - 1909年4月1日
伊藤瀬平 歩兵大佐：1909年4月1日 - 1910年11月30日
町田経宇 歩兵大佐：1910年11月30日 - 1912年3月5日
鈴木朝資 歩兵大佐：1912年3月5日 - 1913年8月31日
朝久野勘十郎 歩兵大佐：1913年8月31日 - 1914年8月10日
三原辰次 歩兵大佐：1914年8月10日 - 1916年8月18日
山田軍太郎 歩兵大佐：1916年8月18日 - 1918年10月3日
馬場儀雄 歩兵大佐：1918年10月3日 - 1922年8月15日
野田久吉 歩兵大佐：1922年8月15日 - 1923年8月6日
守房太郎 歩兵大佐：1923年8月6日 - 1924年12月15日
久木村十郎次 歩兵大佐：1924年12月15日 - 1925年5月1日

最終所属部隊

歩兵第17旅団 （豊橋）
歩兵第18連隊（豊橋）
歩兵第60連隊（豊橋）
歩兵第29旅団（静岡）
歩兵第34連隊（静岡）
歩兵第67連隊（浜松）
騎兵第4旅団 （豊橋）
騎兵第19連隊（豊橋）
騎兵第25連隊（豊橋）
騎兵第26連隊（豊橋）
野戦重砲兵1旅団（三島）
野戦重砲兵第2連隊（三島）
野戦重砲兵第3連隊（三島）
野砲兵第21連隊（豊橋）
工兵第15大隊（豊橋）
輜重兵第15大隊（豊橋）

第二次編成 (1938年 - 1945年)

編成の背景

1938年（昭和13年）、日中戦争の激化に伴い、1925年に廃止された師団番号を復活させる形で第15師団は再編成されました。これは関東軍の対ソ戦力不足を補うため、満州駐屯部隊の任務を分担し、常設師団を前線に集中させる目的で、後方守備を担う警備師団として編成されたものです。編成装備は特設師団に準じたもので、留守第3師団が担当しましたが、人員不足のため、第1師管と第16師管も編成を分担しました。当初は第24師団として計画されていましたが、第3師団の特設師団が編成されていなかったため、空き番号の第15師団となりました。

中国での活動

当初、関東軍に配備される予定でしたが、中国戦線への戦力集中のため、訓練不足のまま短期投入され、そのまま中国大陸での警備や討伐作戦に従事しました。1940年（昭和15年）には、兵団文字符で「祭兵団」と呼称されました。

主な作戦と移動

1938年7月、中支那派遣命令を受け上海に上陸し、南京の警備を担当しました。その後、武漢作戦に参加。1939年にはノモンハン事件に対応するため、隷下の部隊を派遣しました。1940年には、郎渓溧陽作戦、春季皖南作戦、宣城作戦、両溧作戦、秋季磨盤山作戦に参加。1941年には蘇北作戦、大湖西作戦、斐湖南方作戦、浙東作戦、皖江作戦、宣北作戦、金壇南方作戦などに参加しました。1942年、浙贛作戦に参加中に師団長の酒井直次中将が戦死しました。

南方への転戦とインパール作戦

1943年、第15師団は南方派遣が決定し、編成を改正しました。ビルマの第15軍に編入され、タイでの道路改修工事を経て、インパール作戦に参加。作戦中に師団長が更迭されるなどの混乱もあり、作戦は中止。撤退を余儀なくされ、1945年、タイで終戦を迎えました。軍旗は奉焼され、部隊は復員しました。

歴代師団長

岩松義雄 中将：1938年7月15日 - 1940年3月9日
渡辺右文 中将：1940年3月9日 - 1940年5月28日
熊谷敬一 中将：1940年5月28日 - 1941年8月20日
酒井直次 中将：1941年8月20日 - 1942年5月28日（戦死）
山内正文 中将：1942年6月2日 - 1944年6月10日
柴田夘一 中将：1944年6月10日 - 1945年2月30日
山本清衛 少将（心得）：1945年2月30日
山本清衛 中将：1945年3月1日 - 1945年7月25日
渡左近 中将：1945年7月25日 - 終戦

歴代参謀長

三国直福 砲兵大佐：1938年7月15日 - 1939年8月1日
大野武城 歩兵中佐：1939年8月1日- 1940年9月9日
川久保鎮馬 大佐：1940年9月9日 - 1943年3月11日
岡田菊三郎 大佐：1943年3月11日 - 1944年10月5日
鈴木善康 大佐：1944年10月5日 - 1945年月日不詳
林正直 大佐：1945年1月25日 - 1945年6月8日
佐孝俊幸 大佐：1945年6月8日 - 終戦

最終司令部構成

参謀長：佐孝俊幸大佐
参謀：今岡久夫中佐
参謀：山中雅太少佐
参謀：菅野周男少佐
高級副官：北村将臣少佐
兵器部長：檜垣克雄中佐
経理部長：坂田輝一主計大佐
軍医部長：岸本春栄軍医大佐
獣医部長：坂田清獣医中佐

最終所属部隊

歩兵第51連隊（京都）：上田孝中佐
歩兵第60連隊（京都）：北部邦雄大佐
歩兵第67連隊（敦賀）：瀧口一郎大佐
野砲兵第21連隊：藤岡勇大佐
工兵第15連隊：千葉磨少佐
輜重兵第15連隊：小川義弘中佐
第15師団通信隊：福永哲郎少佐
第15師団兵器勤務隊：石井孝晴大尉
第15師団衛生隊：古北光太郎少佐
第15師団第1野戦病院：弘中忠男少佐
第15師団第2野戦病院：網谷郁少佐
第15師団病馬廠：瀬川忠直大尉

注釈

脚注

参考文献

外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。
『官報』

関連項目

大日本帝国陸軍師団一覧
祇園祭‐祭師団の由来

外部リンク

* 豊橋の戦争遺産豊橋市教育委員会

もう一度検索