第3.5世代移動通信システム

第3.5世代移動通信システムとは

第3.5世代移動通信システム（3.5G）は、第3世代移動通信システム（3G）の高速データ通信規格を指す、技術分野における一般的な用語です。これは、国際電気通信連合（ITU）が定める「IMT-2000」規格の一部を改良し、高速データ通信に特化させたものです。3Gを基盤としつつ、より高速なデータ通信を実現するために発展した技術を総称する際に用いられます。

概論

3. 5Gは、3Gのデータ通信速度を向上させるために開発されました。主な技術として、EV-DO、HSDPA、HSUPAなどが挙げられます。これらの技術によって、音楽配信や動画ストリーミングなど、大容量データを高速で送受信できるようになりました。これにより、モバイル環境でのエンターテイメントやビジネス利用が大きく進展しました。

通信規格

3. 5Gで用いられる主な通信規格は以下の通りです。

HSPA (HSDPA/HSUPA): 高速データ通信を実現する技術で、下り（ダウンロード）と上り（アップロード）の両方の速度を向上させます。
DC-HSDPA: HSDPAをさらに高速化したもので、複数のチャネルを束ねて通信することで高速化を実現します。
HSPA+: HSPAをさらに進化させた技術で、より高速なデータ通信が可能です。
CDMA2000 1xEV-DO: CDMA2000方式における高速データ通信規格で、主に下り速度の向上に貢献します。EV-DO Rel.0、Rev.A、Rev.Bなどのバージョンがあります。

日本での展開

日本では、2000年代後半から3.5Gの導入が進み、各通信キャリアが高速データ通信サービスを開始しました。

au (KDDI/沖縄セルラー電話連合)
2003年11月: CDMA 1X WIN (CDMA2000 1x EV-DO Rel.0) を開始。下り最大2.4Mbps。
2006年12月: CDMA 1X WINでCDMA2000 1xEV-DO Rev.Aのサービスを開始。下り最大3.1Mbps、上り最大1.8Mbps。
2010年10月: WIN HIGH SPEED (CDMA2000 1xEV-DO MC-Rev.A) を開始。下り最大9.2Mbps、上り最大5.5Mbps（一部地域では下り最大6.2Mbps、上り最大3.6Mbps）。
当初、CDMA2000 1xEV-DO Rev.Bの導入を検討していたが、LTE導入に方針転換し、Rev.Bのサブセット版であるMC-Rev.Aを導入。
NTTドコモ
2006年8月: FOMAハイスピード (HSDPA) を開始。下り最大3.6Mbps。
2008年4月: HSDPAを下り最大7.2Mbpsに高速化。
2009年6月: HSUPA商用サービス開始。上り最大5.7Mbps。
ソフトバンクモバイル
2006年10月: 3G ハイスピード (HSDPA) を開始。
2008年11月: HSDPAを下り最大7.2Mbpsに高速化。
2011年2月: ULTRA SPEED (DC-HSDPA、HSPA+を含む) を開始。下り最大42Mbps。
イー・モバイル
2007年3月: HSDPA商用サービス開始。下り最大3.6Mbps。
2007年12月: HSDPAを下り最大7.2Mbpsに高速化。
2008年11月: HSUPA商用サービス開始。上り最大1.4Mbps。
2009年4月: HSUPAを上り最大5.8Mbpsに高速化。
2009年7月: HSPA+商用サービス開始。下り最大21Mbps。
2010年12月: EMOBILE G4 (DC-HSDPA、HSPA+を含む) を開始。下り最大42Mbps。


このように、3.5Gは日本国内においても急速に普及し、モバイルデータ通信の高速化に大きく貢献しました。各キャリアは、技術革新に伴い通信速度を向上させ、ユーザーはより快適な通信環境を享受できるようになりました。

関連情報

* 移動体通信

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