第6次沖縄抗争とは？意味をやさしく解説

第六次沖縄抗争：血塗られた抗争の全貌

1990年から1992年にかけて、沖縄県を舞台に繰り広げられた「第六次沖縄抗争」。この抗争は、三代目旭琉会と沖縄旭琉会という二つの暴力団組織の間で勃発しました。抗争は凄惨を極め、一般市民や警察官までもが犠牲となる事態に発展し、社会に大きな衝撃を与えました。

抗争勃発の背景

1983年、旭琉会は内部抗争によって二代目会長が殺害され、翁長良宏氏が三代目会長に就任。三代目旭琉会は、翁長会長と富永清理事長の体制で運営され、7年間は比較的平穏な状態が保たれていました。しかし、1990年に入ると、翁長派と富永派の内部対立が表面化し、抗争へと発展していきます。

1990年 9月13日、富永派の組員が翁長派の事務所に乱入し、幹部の弟に重傷を負わせる事件が発生。これを受け、旭琉会は富永派を絶縁処分としましたが、富永派はこれに対抗して沖縄旭琉会を結成し、旭琉会は分裂。両組織は、抗争へと突入しました。

抗争の激化と一般市民の犠牲

抗争は分裂直後から激化し、組員だけでなく、一般市民までもが巻き込まれる事態となりました。特に、高校生が組員と間違われて射殺された事件、警察官が職務質問中に射殺された事件は、社会に大きな衝撃を与えました。

高校生射殺事件

1990年 11月22日、アルバイトをしていた高校生が、三代目旭琉会の組員と間違われ、沖縄旭琉会の組員によって射殺されました。実行犯は逮捕されましたが、実行を指示した幹部は指名手配され、後に逮捕されています。この事件では、実行犯だけでなく、当時の会長や幹部の責任も問われ、民事裁判では最高裁で賠償命令が確定しています。

警察官射殺事件

高校生射殺事件の翌日、覆面パトカーで警戒中の私服警察官2名が、沖縄旭琉会の組員と間違えられて射殺されました。実行犯の一人は逮捕され無期懲役となりましたが、もう一人は指名手配されたまま、現在も行方不明となっています。この事件でも、民事裁判では幹部らの責任が問われ、多額の賠償金支払いが命じられています。

抗争終結と暴力団対策法の制定

度重なる事件の発生によって、県民の暴力団排除の意識は高まりました。警察の取り締まりも強化され、1992年2月には、暴力団対策法施行直前に終結宣言が出され、抗争は終結しました。この事件は、暴力団対策法制定へと繋がる重要な契機となりました。

指名手配犯について

警察官射殺事件に関与したとされる、指名手配犯Yは、2000年10月頃に癌を発症し、自力歩行が困難な状態であったと判明しています。現在、死亡説も囁かれており、沖縄県警は被疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検することを視野に捜査を進めています。指名手配中の容疑者としては、桐島聡が死亡した現在、最古の指名手配犯となっています。

まとめ

第六次沖縄抗争は、暴力団抗争が一般社会に及ぼす影響を如実に示した事件でした。この事件を教訓に、暴力団対策法の制定など、さまざまな対策が講じられるようになり、現在の暴力団排除活動の原点とも言える出来事でした。しかし、一般市民の命が奪われた事実は決して忘れてはならないでしょう。

参考文献

- 洋泉社編『沖縄ヤクザ50年戦争』
- 野村旗守編『沖縄ダークサイド』