筑後吉井

筑後吉井：白壁土蔵が語る歴史と文化の街並み

福岡県うきは市吉井町に位置する筑後吉井は、江戸時代に宿場町として栄えた歴史的な地区です。白壁土蔵造りの美しい街並みが特徴で、1996年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。この地区は、かつて三度の大火に見舞われたことから、耐火性の高い土蔵造りの商家が建てられるようになり、現在も162軒が保存物件として指定されています。

歴史

筑後吉井は、江戸時代に久留米城の城下町と天領の日田を結ぶ豊後街道沿いの宿場町として発展しました。1664年には大石水道と長野水道が開削され、周辺地域は豊かな穀倉地帯となります。その後も水利事業が進められ、筑後川からの水運を利用した商品作物の集散地として繁栄しました。

江戸時代末期からは、酒、油、櫨蝋などの商品作物を加工する産業が発展し、在郷町としての地位を確立。金融活動も活発に行われ、「吉井銀」と呼ばれる独自の金融システムも存在しました。

明治時代には、大火を機に豪商たちが競って贅を尽くした蔵造りの商家「居蔵屋」を建てました。最盛期の大正時代には、新町や蛭子町に多くの居蔵屋が立ち並びましたが、昭和初期以降は経済活動が減衰し、町屋も減少していきました。

1984年頃から官民一体となって町並みの保存・修景に取り組み、1996年に重要伝統的建造物群保存地区として選定され、現在に至ります。

伝統建築

筑後吉井には、江戸時代から現存する唯一の建物である鏡田屋敷があります。この屋敷は、典型的な居蔵屋の形式を備えており、敷地内には水路が引き込まれ、庭を確保するために建物が短冊状に建てられています。玄関から建物まで直線的にアプローチできない点も居蔵屋の特徴で、鏡田屋敷では井戸や洗い場が玄関脇に配置されているのが特徴的です。

吉井の伝統建築の様式は、1階に切妻面を、2階に庇を設けるのが特徴です。正面のファサードは、なまこ壁や漆喰で防火対策を施したもの、漆喰部分を減らして格子をはめた開放的なもの、2階の柱に漆喰を塗らない真壁造りのものの3つのパターンがあります。

施設

筑後吉井には、歴史や文化に触れることができる様々な施設があります。

居蔵の館（旧松田家住宅）
鏡田屋敷（旧籠田家住宅）
うきは市吉井観光会館「土蔵」
素盞嗚神社（東光寺跡）
歴史民俗資料館
屋部地蔵公園

イベント

筑後吉井では、年間を通して様々なイベントが開催されています。

筑後吉井の小さな美術館めぐり
筑後吉井おひなさまめぐり

アクセス

JR久大本線筑後吉井駅より徒歩10分
大分自動車道朝倉インターチェンジから約7km

筑後吉井は、歴史的な街並みを散策したり、地域の文化に触れたりすることができる魅力的な観光スポットです。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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