粉粒体運搬車

粉粒体運搬車とは

粉粒体運搬車は、粉状または粒状の貨物、いわゆる粉粒体を輸送するために特別に設計された貨物自動車であり、特種用途自動車に分類されます。これらの車両は、その荷台構造や荷役方式によって、ホッパー車、エア車、バルク車、バルクローリーなど、さまざまな名称で呼ばれることもあります。

粉粒体運搬車の種類

粉粒体運搬車は、積荷の排出方法や運搬する物質の種類に応じて、いくつかのタイプに分類されます。

1. 空気圧送式（エアレーションブロー式）

この方式は、バラセメント、炭酸カルシウム、石灰などの鉱物から、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの樹脂ペレットまで、幅広い粉粒体の輸送に対応します。

積荷は、タンク上部のマンホール兼投入口から積み込まれ、荷降ろしの際には、工場側の設備や車両に搭載されたエアコンプレッサーやブロワーから供給される圧縮空気が利用されます。この圧縮空気によって粉粒体が流動化し、長距離や高所への搬送が可能になります。

バラセメント車の場合、マンホールから粉粒体を積み込んだ後、マンホールを閉じてタンク内にエアーを送ることで加圧します。タンク下部のキャンバスからエアーが入り込むことで、粉粒体と混合し流動化させるとともに、タンク内の圧力を上昇させます。その後、排出バルブを開けることで、粉粒体をエアーとともに排出（圧送）することができます。

2. エアスライド式

タンク底部に設置されたエアスライドキャンバスの布目から吹き出すエアーを利用して、粉粒体を流動化させ、タンク中央部の排出口に集める方式です。セメントやフライアッシュなど、比較的流動性の高い粉粒体の排出に適しています。

一般的にはタンク構造が一室傾胴型であることが多く、その場合、排出バルブの操作が一箇所で済むため、作業効率が高いという特徴があります。

3. セミトレーラ

大量の粉粒体を一度に輸送する際に使用されます。セミトレーラは、大量輸送の効率化に大きく貢献します。

4. ダンプ併用式

主に小麦粉やグラニュー糖などの食品系の粉粒体運搬に用いられます。このタイプの車両は、ダンプ機構を利用してタンクを傾斜させ、積荷の粉粒体を後部排出部へと導いて排出します。

後部ハッチの開閉が可能なため、清掃が容易であるという利点があります。ただし、ダンプ装置の操作が必要になる点や、積載比重によってはフルダンプでの作業が困難な場合がある点には注意が必要です。

5. 飼料運搬車

養鶏場や養豚場などで使用される配合飼料を運搬するために用いられます。飼料は、車両に搭載されたスクリューコンベアによって、畜産場の飼料サイロ上部の投入口まで運ばれます。

主な架装メーカー

粉粒体運搬車の架装を手掛ける主なメーカーには、以下のような企業があります。

自動車精工（リフト）
極東開発工業
昭和飛行機工業
日本トレクス（旧：日本トレールモービル）
新明和工業

これらのメーカーは、粉粒体運搬車の設計と製造において、長年の経験と技術力を活かしています。

関連事項

粉粒体運搬車に関連する項目としては、以下のようなものがあります。

タンクローリー：液体を輸送するための車両ですが、粉粒体運搬車と同様に、特殊な構造を持つ貨物自動車の一種です。
特装車：特定の用途に合わせて特別に改造された自動車の総称です。粉粒体運搬車もこの一種に含まれます。
コーチビルダー / 艤装：自動車の車体を改造・製作する事業者や、その行為を指します。粉粒体運搬車の特殊な構造は、これらの専門家によって設計・製作されます。

粉粒体運搬車は、様々な産業において、粉状または粒状の物質を安全かつ効率的に輸送するために不可欠な存在です。その種類や構造は、運搬する物質や輸送条件に合わせて最適化されており、物流の効率化に大きく貢献しています。

画像ギャラリー

粉粒体運搬車の外観の例を以下に示します。

粉粒体運搬車の例1'>

粉粒体運搬車の例2'>

粉粒体運搬車の例3'>

もう一度検索