糸魚川市の歴史

糸魚川市の歴史

糸魚川市の歴史は、その地理的特性と自然環境によって深く刻まれてきました。ここでは、古代から現代に至るまでの糸魚川市の歩みを詳細に解説します。

戦国時代以前

糸魚川市の歴史は、古墳時代に久比岐国造が設置されたことに始まります。710年には『古事記』が完成し、大国主神と沼河比売の記述が残されました。927年には『延喜式』が定められ、奴奈川神社、青海神社などが掲載され、この地の文化と信仰の歴史を物語っています。

自然の猛威もまた、糸魚川の歴史を形作ってきました。989年には新潟焼山が大噴火し、火砕流が早川を流下、海岸線付近に到達しました。1092年には越後国一帯に地震が発生し、親不知に大津波が押し寄せました。

1221年の承久の乱では、親不知の市振で幕府軍と朝廷軍が戦い、幕府軍が勝利しました（浄土崩れ）。室町時代には、勝山城、根知城が築城され、長尾氏の勢力下に置かれました。1502年には越後南西部地震が発生し、県境付近の真名板山が崩壊、姫川をせき止め天然ダムができました。1565年には上杉謙信が村上義清を根知城城主に定めています。

江戸時代

江戸時代に入ると、糸魚川は北国街道と千国街道の交点として宿場町として栄えました。1610年には越後高田藩の一部となり、糸魚川城代（1万5,000石）に藩の家老職が入り一帯を治めました。1611年には天津神社に対し、江戸幕府が黒印地百石を寄進しています。

1691年には延岡藩から有馬清純が5万石で入り糸魚川藩が誕生しましたが、その後、本多氏、松平氏と藩主が変わり、幕末まで越前松平家の藩主が続きました。しかし、江戸に詰める定府大名であったため、実質的な統治は郡代が担いました。

この時代、糸魚川は度重なる災害に見舞われました。1714年には正徳小谷地震が発生し、甚大な被害が出ました。1747年には姫川が氾濫し、須沢村で多数の家屋が流失（卯の満水）。1751年には高田地震が発生し、糸魚川周辺でも山腹崩壊が多数発生しました。1773年には新潟焼山が噴火し、火砕流が発生しています。大火も頻発し、1806年、1814年、1816年、1826年、1834年と、大町、七間町、横町、浜町などで甚大な被害を出しました。

明治時代

明治時代に入り、1871年の廃藩置県で清崎県となり、その後柏崎県に統合、最終的に新潟県に合併されました。1878年には西頸城郡が発足し、郡役所が糸魚川町に設置されました。1882年には北陸道の親不知が開通し、交通の便が向上しました。

1889年の町村制施行に伴い、各地域に町村が成立しました。1901年には市町村の合併が行われ、現在の糸魚川市の原型が形作られました。

大正時代

大正時代に入ると、1913年に信越線（現在の北陸本線）が全通し、糸魚川は交通の要衝としての地位を確立しました。1922年には北陸本線勝山トンネルで雪崩が発生し、多数の犠牲者が出る悲劇も起こりました。

昭和時代（旧糸魚川市発足以前）

昭和初期には、昭和2年豪雪による雪崩や地すべりが頻発し、甚大な被害をもたらしました。1934年には大糸北線（現在の大糸線）が開業し、地域の発展に貢献しました。戦時体制下では、能生銀行などが第四銀行に吸収され、バス会社も頸城鉄道に統合されました。

昭和時代（旧糸魚川市発足以降）

1954年、糸魚川町は周辺の村と合併し、糸魚川市が誕生しました。同年には能生町、青海町もそれぞれ周辺の町村と合併し、現在の糸魚川市の基礎が築かれました。1963年には能生町で地すべりが発生し、北陸本線の列車が脱線転覆する事故が起きました。1965年には集中豪雨により姫川が氾濫し、甚大な被害が出ました。

1988年には北陸自動車道が全線開通し、糸魚川市の交通アクセスは飛躍的に向上しました。

平成時代

平成時代に入ると、1995年の7.11水害で姫川が氾濫、大糸線が長期不通となるなど、再び自然災害の脅威にさらされました。2005年には糸魚川市、能生町、青海町が新設合併し、現在の糸魚川市が誕生しました。

令和時代

2015年には北陸新幹線が開業し、糸魚川駅が開設されました。これにより、首都圏からのアクセスが大幅に向上し、観光客の増加が期待されています。2016年には糸魚川大火が発生し、市街地に甚大な被害が出ましたが、復興に向けた取り組みが進められています。2024年1月1日、令和6年能登半島地震により市内で最大震度5強の揺れを観測しました。

糸魚川市は、幾多の困難を乗り越え、豊かな自然と歴史、文化を受け継ぎながら、新たな時代へと歩みを進めています。

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