紀本

紀本（き の もと）

紀本は奈良時代に活躍した貴族で、姓は朝臣を持ち、官位は従五位下と肥後守を歴任しました。彼の経歴は多彩で、重要な役職に就くことで当時の政治や文化に大きな影響を与えました。

経歴

彼の初めての官職は宝亀5年（774年）に従五位下に任ぜられ、同年の7月21日には左少弁に就任しました。その後、宝亀7年（776年）には春宮亮に異動し、さらに尾張守として地方官に転任されました。このように、紀本は早くから要職に就くことでその才能を示しました。

紀本にとって重要な出来事の一つは、桓武天皇の治世に入った際、天応元年（781年）に光仁上皇の葬儀で装束司を務めたことです。葬儀において重要な儀式の準備を担う役割であり、彼は伝統を守ることに寄与しました。そして、翌年の天応2年（782年）には陰陽頭に任命され、同年8月には光仁天皇の山陵地を選定するために、治部卿の壱志濃王とともに大和国に派遣されました。これにより、天皇の葬儀や陵墓に関する重要な決定に関与したことが評価されます。

しかし、同年の9月には再び肥後守として地方官に戻され、地域の政治に携わることになりました。この移動は、彼が重要な役割を果たし続けていたことの証とも言えます。紀本は官職を通じて、古代日本の貴族制度や官僚組織の一端を支える存在であったのです。

官歴

『続日本紀』によると、紀本の官歴は以下の通りです：

• - 時期不詳：正六位上
• - 宝亀5年（774年） 1月7日：従五位下、7月21日：左少弁
• - 宝亀7年（776年） 3月6日：春宮亮、3月29日：尾張守
• - 天応元年（781年） 12月23日：装束司（光仁上皇葬儀）
• - 天応2年（782年） 2月7日：陰陽頭、9月6日：肥後守

参考文献

彼の経歴や官歴について詳しくは、宇治谷孟による『続日本紀 （下）』を参照してください。この書籍は、奈良時代の貴族や官僚についての貴重な情報源となっています。紀本のような歴史に名を刻んだ人物を知ることで、当時の政治や文化の理解が深まるでしょう。

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