紀鹿人

紀 鹿人について

紀鹿人（きのししひと）は、奈良時代に活躍した官人かつ歌人で、外従五位上や大炊頭といった官位を持っていました。彼は『万葉集』にその名を刻む和歌があり、その歌の背景や経歴は、当時の日本文学や文化を知る上で重要な資料となっています。

経歴

紀鹿人の経歴は、主に『万葉集』に収められた和歌から伺い知ることができます。特に、『万葉集』巻第八には、彼の和歌が掲載されており、これは天平2年（730年）以降に創作されたと考えられています。鹿人は、大伴稲公に関連することから、もともとの背景を推測することができます。同様に、巻第六にも彼に関連する歌が存在しており、これらは彼の歌のスタイルやテーマを知る手掛かりとなります。

天平9年（737年）、紀鹿人は9月に外従五位下に叙され、その後12月に主殿頭に任命されました。このように、この時期の彼は重要な役職に就いており、その地位を確立していきました。さらに、天平12年（740年）には外従五位上に昇叙され、翌年には大炊頭に転任することになります。このように、彼の官歴は順調であり、重要な役割を果たしていたことが分かります。

また、鹿人は大和国跡見（現在の奈良県桜井市外山）で、和歌を通じてその情景や感情を表現しており、特に彼が詠んだ3首の和歌は『万葉集』に掲載されており、後世に伝えられています。さらに、彼の娘である紀小鹿も歌人として名を馳せ、文学的な家系であったことが窺えます。

官歴

紀鹿人の官歴に関して、注記のないものは『続日本紀』の記録に基づいています。次のような経緯が見られます:

• - 時期不詳：典鋳正、正六位上
• - 天平9年（737年）

9月28日：外従五位下
12月23日：主殿頭

• - 天平12年（740年）

11月21日：外従五位上

• - 天平13年（741年）

8月9日：大炊頭

このように、鹿人は著しい官歴を持ち、官職を次々に昇進していく様子が見受けられます。これにより、彼の地位や影響力が高かったことが理解できます。

家族構成

紀鹿人の家族に関しては、父母についての詳細がわからないものの、彼の子女として紀小鹿が存在し、安貴王室に関連していたことが知られています。このように、彼の家族もまた文化的な役割を持つ人物だったことが伺えます。

参考文献

紀鹿人に関する詳細な情報は、以下の資料から得ることができます。

• - 『萬葉集 （二） （完訳日本の古典3）』小学館、1984年
• - 『萬葉集 （三） （完訳日本の古典4）』小学館、1984年
• - 『続日本紀 2 （新日本古典文学大系13〕』岩波書店、1990年
• - 宇治谷孟『続日本紀 （上）』講談社〈講談社学術文庫〉、1992年

紀鹿人の業績や歌、その背景について知ることで、奈良時代の文化や社会の一端を感じることができ、非常に興味深いテーマとなっています。

もう一度検索