安貴王

安貴王について

安貴王（あきおう）は生年不詳の奈良時代の皇族であり、名は阿貴王または阿紀王とも呼ばれています。彼は二品・志貴皇子の孫で、春日王の子供として知られています。位階は従五位上に至り、その経歴は多彩です。

経歴

安貴王は養老2年（718年）に元正天皇の行幸に同行し、美濃国から伊勢国を通って行った際に、一首の和歌を詠みました。この和歌には、彼が交際中の女性がいたことが示唆されており、その相手は紀小鹿と考えられています。彼らの関係から、子供の市原王が誕生しますが、安貴王は元正天皇の采女であった因幡八上采女と通じてしまい、二人は「不敬之罪」として告発されました。因幡八上采女は故郷の因幡国に戻されることとなり、安貴王に対する処罰は不明ですが、官位の剥奪や自宅謹慎があったと予想されています。

その後、聖武天皇の時代である神亀6年（729年）には、無位から従五位下に叙爵されます。この時の叙位は、彼が21歳になった際の慣例に基づいていると考えられており、彼は和銅2年（709年）生まれの白壁王（後の光仁天皇）と叔父と甥の関係にあたります。この関係は、後の市原王と能登女王（後の内親王）の婚姻に影響を与えたともされます。

天平5年（733年）には、子息の市原王から長寿を祝う和歌を贈られました。大森亮尚はこれを元に、安貴王の生年を持統8年（694年）として推測しています。また、天平17年（745年）には従五位上に昇格しました。

万葉歌人としての活動

安貴王は歌人としても知られ、『万葉集』に4首の和歌が収められています。彼の作品は、当時の文化や感性を反映しており、奈良時代の社会を知る手がかりとなります。彼の歌は、人々の心に響くものとして今も多くの人に親しまれています。

官歴

安貴王の官歴は『続日本紀』に記録されており、以下のようになります。

• - 神亀6年（729年）3月4日：従五位下（直叙）
• - 天平17年（745年）正月7日：従五位上

系譜

安貴王の系譜は以下の通りです：

• - 父：春日王
• - 母：不詳
• - 妻：紀小鹿（紀鹿人の娘）
• - 男子：市原王
• - 生母不詳の子女

- 男子：志賀池原
- 男子：志賀嶋原

安貴王についての情報は、彼の経歴や歌業とともに歴史的な文献に残され、奈良時代の重要な文化人物としての存在を如実に示しています。

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