紀麻路

紀 麻路について

紀麻路（き の まろ）は、奈良時代に活躍した公卿で、名は麻呂とも記されます。父である紀大人は御史大夫を務めたことから、麻路もまた貴族としての家柄を受け継ぎました。彼の官職は従三位・中納言です。

生涯の概要

麻路は養老4年（720年）に従五位下に叙爵され、その後、養老5年（721年）には式部少輔に任ぜられます。彼の昇進は天平時代に入ってからも続き、天平6年（734年）には従五位上、続いて天平10年（738年）には紀男人の死去により、一族の代表的地位を引き継ぎます。さらに、同年の正月には正五位下に昇叙され、同年の10月には後騎兵大将軍に任官。12月には正五位上に昇進しました。

天平14年（742年）には従四位下に昇進し、天平15年（743年）には参議に任ぜられることで公卿に列します。麻路は、多くの政治的役職を兼務しながら、天平18年（746年）には従四位上、天平20年（748年）には正四位上という順調な昇進を遂げていきます。この間、天平17年（745年）に甲賀宮の留守役を務めるなど、彼は王政において重要な役割を果たしました。

政治的な業績と特筆すべき事件

天平21年（749年）4月、麻路は中臣益人や忌部鳥麻呂らと共に伊勢大神宮に幣帛を奉納。この活動は、彼が神事においても目立った存在であることを示唆しています。同年には天平勝宝元年と改元し、孝謙天皇の即位に伴い、従三位・中納言に叙任されます。その後も彼は式部卿や大宰帥といった重要な役職を歴任し続けました。

特に彼の政治活動で重要なのは、天平勝宝9年（757年）3月のことで、孝謙天皇や光明皇太后、藤原豊成と共に皇太子・道祖王の廃位を画策した点です。この出来事は、麻路の政治的影響力を示すものとして重要視されています。しかしその後、彼に関する記録は『続日本紀』にはほとんど残っておらず、彼はまもなく薨去したとされています。

文化的貢献

また、麻路は文化面でも貢献をしており、『懐風藻』には彼の漢詩作品が収録されています。これは、奈良時代における文学や詩の発展に寄与したことを示しています。彼の詩はこの時代の文化的背景や感受性を反映したものであり、後世に渡って読み継がれる重要な作品となっています。

家系

麻路の家族についても触れておくと、彼には不明な母親から生まれた子供たちが複数います。男子には紀広名、紀広庭、紀男梶、紀鯖麻呂が存在し、彼の血筋もまた奈良時代の貴族社会において影響力を持ったと考えられています。

まとめ

紀麻路は、奈良時代の政治や文化において重要な役割を果たした公卿であり、その生涯は昇進や政治的な活動、文化的な貢献によって語り継がれています。彼の業績は後の時代に多大な影響を与え、歴史に名を刻む存在となりました。

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