経が島

経が島（きょうがしま）

経が島は、平安時代末期に日宋貿易の拠点である大輪田泊（現在の神戸港）の拡張と、風雨による波浪を防ぐ目的で築造された人工島です。承安3年（1173年）に一部が完成し、その広さは『平家物語』に「一里三十六町」と記されており、約37ヘクタールと推定されています。別名として経ヶ島・経の島とも呼ばれ、後世には兵庫津にちなんで兵庫島とも称されました。

築造の背景と伝説

経が島の築造には、塩槌山を切り崩した土が用いられました。工事は難航し、当時の貴族たちは海神の怒りを鎮めるために人身御供を考えました。しかし、平清盛は人柱を避けるため、石一つ一つに一切経を書き写して埋め立てに使ったと伝えられています（経石）。この経石の効果で工事は無事に終わり、お経を広げたような扇の形をした島を「経が島」と呼ぶようになったという伝説が残っています。

歴史

実際の工事は平清盛の生存中には完成せず、清盛晩年の治承4年（1180年）には近隣諸国や山陽道・南海道に対して人夫を徴用する太政官符が出されました。最終的な完成は平家政権滅亡後、工事の再開を許された東大寺の重源によって建久7年（1196年）になされました。

『平家物語』には、平清盛自身が死後に円實という僧によって経が島に埋葬されたという記述もあります。

現在の状況

現在、経が島は度重なる地形変化などにより正確な位置を特定することが困難になっています。しかし、おおよそ神戸市兵庫区の阪神高速3号神戸線以南・JR西日本和田岬線以東の地域であると考えられています。また、松王丸の石塔が伝えられている兵庫区島上町の来迎寺（築島寺）周辺がその跡地であるという説もあります。

参考文献

池上洵一「経の島」（『兵庫県大百科事典』神戸新聞総合出版センター、1983年）
武藤誠「経島」（『平安時代史事典』角川書店、1994年）

関連項目

神戸港
兵庫津
福原京
能福寺
* 和賀江島 - 鎌倉の築港

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