続後拾遺和歌集

『続後拾遺和歌集』の概要

『続後拾遺和歌集』（しょくごしゅういわかしゅう）は、元亨3年（1323年）に二条為藤が後醍醐天皇の勅命を受けて着手した、全20巻の勅撰和歌集です。この和歌集は、二条為定の継承を経て、正中3年（1326年）に完成を見ました。歌数は1347首に及び、春・夏・秋・冬の四季をはじめ、物名、離別、羈旅、賀、恋、雑、哀傷、釈教、神祇などの多様な部立で構成されています。また、物名歌が独立した部立として扱われているのは、この集の特徴の一つです。

収録された歌人たち

この和歌集には約560人の作者が名を連ねていますが、特に注目される歌人たちには、藤原為氏（24首）、藤原為家（21首）、二条為世（21首）、藤原定家（20首）、後宇多院（17首）、後醍醐天皇（17首）、小倉公雄（15首）、藤原俊成（15首）などがいます。後醍醐天皇にとっては、自身の意向で選ばれた初めての勅撰和歌集であり、その出来栄えに非常に満足していたとの記録があります。しかし、京極派の花園上皇からは厳しい評価を受け、特に三条実任の「偏頗」という批判も見受けられました。

和歌集の特徴と文化的背景

『続後拾遺和歌集』は、二条派の集成としての側面が強調されていますが、特徴的な個性はあまり感じられないという意見もあります。叙景歌に優れている一方で、力強さに欠け、徐々に平凡化する二条家の文化的衰退の兆しを示しているとも言われています。

撰進の過程において、正中の変という政治的事件が起こり、和歌集には政治史や文化史における重要な意味が込められています。特に注目すべきは、武家家人が70名以上収録されている点で、その中には鎌倉幕府に属する関係者が多く含まれています。彼らの多くはわずか1、2首が採用されただけですが、その存在は和歌集全体の流れに対して無視できない影響を持っています。

中でも、足利尊氏の和歌が1首含まれていることは特筆に値します。これは確認できる限り最も古い尊氏の和歌であり、尊氏は前回の続千載和歌集に歌を送った際に不採用となった経験があり、今回はぜひ収録してほしいと訴えた結果、実現したものです。さらに、得宗家の被官である御内人も数人登載されており、彼らが実名で記載されていることは、法名や隠名という慣習に反している点が重要です。これは、北条貞時によって制定された一門被官の入集禁止の規則に対する挑戦を示し、鎌倉後期の御内人勢力の拡張を反映していると考えられています。

参考文献

『続後拾遺和歌集　和歌文学大系9』（深津睦夫校注、明治書院、1997年）や井上宗雄の『中世歌壇史の研究 南北朝期』など、多くの研究書がこの和歌集についての理解を深める手助けとなっています。これらの文献から、当時の文化や歴史的背景を読み解くことができます。

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