続漢書

続漢書（ぞくかんじょ）

『続漢書』は、中国西晋の司馬彪によって編纂された、後漢王朝に関する紀伝体の歴史書です。この書物は、後世の歴史研究において重要な役割を果たしました。

成立の背景

『続漢書』は、范曄（はんよう）が編纂した『後漢書』（5世紀）に先行する、八家後漢書（あるいは七家後漢書）と呼ばれる後漢についての歴史書の一つです。後漢の光武帝から献帝に至るまでの歴史を網羅した紀伝体の形式で記述されており、全83巻（帝紀9巻、志8巻、列伝65巻、叙篇1巻）という大部な構成でした。

裴松之（はいしょうし）が『三国志』に注釈を施す際にも、『続漢書』は引用されており、その史料としての価値が認められていました。また、劉勰（りゅうきょう）は、著書『文心雕龍』の中で、『続漢書』を「詳実」であると高く評価しています。唐代の李賢（章懐太子）も、『後漢書』の注釈を行う際に、『続漢書』から多くの引用を行いました。

しかし、時代が下るにつれて、『続漢書』の本紀や列伝などは次第に散逸してしまいました。幸いなことに、後述するように『後漢書』と合刻されるようになった志（天文・地理・官制などに関する記述）は比較的良好な状態で残存しました。

清代の汪文台（おうぶんたい）らは、散逸した後漢の史書の逸文を集めて『七家後漢書』を編纂しました。この際、『続漢書』についても、散佚した本紀・列伝に関する記述が諸書から収集され、『続漢書』5巻としてまとめられています。

『後漢書』との関係

范曄が編纂した『後漢書』は、優れた歴史書でありましたが、本紀（皇帝の伝記）と列伝（個人の伝記）のみで構成されており、志（制度や文化に関する記述）が欠けていました。この欠点を補うために、『続漢書』が重要な役割を果たすことになります。

南朝梁の劉昭（りゅうしょう）は、范曄の『後漢書』に注釈を加えて『集注後漢』を編纂する際に、『後漢書』に不足していた志を補完するため、『続漢書』に収録されていた8つの志（律暦・礼儀・祭祀・天文・五行・郡国・百官・輿服）を30巻に再構成した上で組み込みました。しかし、この『集注後漢』も、志を除いて散逸してしまいました。

その後、宋代になると、『後漢書』の志として『続漢書』の志を合刻する形が一般的になりました。これにより、『続漢書』の志は、『後漢書』の一部として後世に伝えられることになったのです。

脚注

[参考文献]

関連項目

• - 後漢書
• - 范曄
• - 司馬彪

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