蕭宝寅

蕭宝寅（しょう ほういん）：波乱の生涯

蕭宝寅は、南朝斉の皇族として生まれながら、北魏に亡命し、その地で斉王に封じられ軍人として活躍した人物です。しかし、彼は関中で反乱を起こし、自ら皇帝を名乗るという大胆な行動に出ます。最終的には北魏軍に敗北し、その生涯を終えました。

生涯

蕭宝寅は、明帝の八男として生まれました。494年に父が即位すると、建安王に封じられます。その後、北中郎将として琅邪城に駐屯し、江州刺史などを歴任しました。498年に同母兄の東昏侯蕭宝巻が即位すると、郢州刺史に任じられ、まもなく前将軍の号を受けました。

500年、建康に召還され撫軍となりますが、赴任しませんでした。501年には車騎将軍・儀同三司となり、石頭に駐屯します。同年7月、雍州刺史の張欣泰らが蕭宝寅を擁立して台城へ向かいますが、城門は閉ざされ、反乱は失敗に終わります。蕭宝寅は捕らえられましたが、蕭宝巻に謝罪し罪を許されました。同年9月には、荊州刺史に任じられます。

同年3月には、弟の蕭宝融（和帝）が蕭衍によって擁立され、蕭宝寅も南徐州刺史に任じられていました。502年、蕭宝巻が殺害され建康城が陥落すると、蕭宝寅は鄱陽王に改封されます。同年3月、北魏に亡命し、同年閏4月には洛陽で宣武帝に謁見しました。

北魏では、南朝梁の江州刺史陳伯之らが帰順したことを受け、宣武帝が南征を決断。503年、蕭宝寅は鎮東将軍・東揚州刺史に任じられ、斉王に封じられます。1万の兵を与えられて南征に向かいますが、504年の寿春の戦いでは武功を認められました。同年7月、洛陽に帰ると、梁郡開国公に改封されています。

506年、中山王元英が南征すると、蕭宝寅は従軍を願い出て、別将として従軍。梁軍を破りますが、507年の鍾離の戦いで敗北し、官爵を剥奪されました。その後、南陽長公主を妻に迎え、夫婦仲は良好であったと伝えられています。

511年、南朝梁が朐山戍を攻撃すると、蕭宝寅は救援に向かいましたが、北魏側は敗北。512年には瀛州刺史に任じられ、再び斉王に封じられました。515年には冀州刺史に転じ、大乗の乱鎮圧に貢献しました。孝明帝が即位すると、洛陽に帰還します。

南朝梁が淮水を堰き止め寿陽を水攻めにしようとすると、蕭宝寅は康絢を討つべく南征。淮水の流れを変えることで寿陽を救いました。この頃、南朝梁の武帝蕭衍から帰順を呼びかけられますが、蕭宝寅は拒否。洛陽の朝廷に報告し、孝明帝から左光禄大夫に任じられました。

その後、徐州刺史として儒学教育を推奨するなど政治に尽力。521年には洛陽に召還され、尚書左僕射となりました。523年には人事の考課方法について上表し、蕭正徳について信用しないよう進言しました。

524年、南朝梁が寿春に進攻してくると、蕭宝寅は救援に向かいますが、到着前に南朝梁軍が撤退。同年、秦州で莫折念生が反乱を起こすと、討伐のため西征します。526年には大将軍に任じられ、莫折念生の降伏を受け入れますが、まもなく反乱が再発しました。

527年、司空公に任じられますが、反乱軍に大敗。官爵を剥奪されますが、雍州刺史として再び任じられます。同年、莫折念生が殺害され、杜粲が降伏したことで、再び斉王に封じられました。

しかし、連年の出征で財政が逼迫し、朝廷からの猜疑を受けるようになった蕭宝寅は、527年、部下に唆され反乱を決意。酈道元を殺害し、皇帝を称して国号を斉としました。長孫稚らに敗れ、528年には侯終徳の裏切りに遭い、長安を脱出。万俟醜奴に帰順しますが、530年に捕らえられ、洛陽で処刑されました。

子女

長男：蕭烈（父が北魏に背くと処刑）
次男：蕭権（事故死）
三男：蕭凱（母を殺害したため処刑）

伝記資料

『南斉書』巻50 列伝第31
『魏書』巻59 列伝第47
『南史』巻44 列伝第34
* 『北史』巻29 列伝第17

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