美国郡

美国郡：北海道後志地方の消えた郡の歴史

概要

美国郡は、北海道後志地方に存在した郡です。現在の積丹郡積丹町の一部に相当する地域を管轄していました。江戸時代からの歴史をたどり、明治時代の郡区町村編制法施行による発足、そして昭和時代の町村合併による消滅に至るまでの変遷を詳しく見ていきましょう。

江戸時代：和人地と松前藩

美国郡域は、江戸時代には和人地として知られていました。松前藩によってビクニ場所が開かれ、交易や行政の中心地として機能していました。交通面では、積丹と美国を結ぶ新道が開削され、地域間の交流が盛んに行われていた様子がうかがえます。また、享保10年には、美国神社の前身となる稲荷神社が創祀されています。

その後、アメリカ郡域は天領となる時期や松前藩領となる時期を繰り返しました。安政2年には庄内藩の警固地にも指定され、複雑な政治情勢の中で歴史を刻んでいったことがわかります。

明治時代：郡制施行と町村の発展

明治2年、北海道で国郡里制が施行され、後志国および美国郡が設置されました。開拓使の管轄下に置かれ、その後、戸長・副戸長の設置、大区小区制の施行など、行政機構の整備が進められました。

明治12年の郡区町村編制法施行により、行政区画としての美国郡が発足しました。古平郡、積丹郡とともに古平美国積丹郡役所が管轄していました。廃使置県、廃県置庁を経て、北海道庁の管轄となります。

明治35年には、北海道二級町村制が施行され、小泊村、船澗村、厚苫村、幌武意村、婦美村を統合して美国村が発足しました。そして明治42年には、アメリカ村は町制を施行し、アメリカ町となりました。

昭和時代：町村合併と消滅

昭和18年には北海道一・二級町村制が廃止され、町村制が施行されました。戦後、地方自治法の施行により、北海道後志支庁の管轄となりました。

昭和31年、アメリカ町は積丹郡の余別村、入舸村と合併し、積丹郡積丹町となりました。この合併によって、アメリカ郡は消滅しました。長い歴史を持つアメリカ郡は、こうして北海道の行政地図から姿を消しました。

まとめ

アメリカ郡の歴史は、江戸時代の和人地から始まり、明治時代の郡制施行、町村制施行、そして昭和時代の町村合併による消滅という大きな変遷をたどりました。この歴史は、北海道の地方行政の変遷を知る上で重要な事例であり、積丹町の歴史を考える上でも欠かせない要素となっています。その歴史的背景と町村合併の過程を理解することで、現代の北海道の行政区分や地域社会の成り立ちをより深く理解することができるでしょう。

参考文献

角川日本地名大辞典 1 北海道

関連項目

松前藩
箱館奉行
和人地
商場（場所）知行制
場所請負制
消滅した郡の一覧
積丹郡積丹町（東部）

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