美濃郡代

美濃郡代とは

美濃郡代は、江戸時代に幕府が美濃国（現在の岐阜県南部）に設置した行政官であり、4ヶ所設置された郡代の一つです。別名、上方郡代とも呼ばれました。美濃国内の幕府直轄領の民政を司り、代官としての役割も担いました。勘定奉行の支配下に置かれ、関東郡代に次ぐ席次で、役高は四百俵であったとされています。

美濃郡代の管轄地域

美濃郡代は、美濃国中西部と伊勢国桑名郡の一部における幕府直轄領を管轄しました。美濃国内の幕府領19万石余りのうち、厚見郡、石津郡、多芸郡、不破郡、安八郡、池田郡、大野郡、本巣郡、席田郡、方県郡の各一部は、大垣[[藩]]が預地として所管しました。

郡上郡、加茂郡、恵那郡は、一時飛騨郡代の管轄となり、その一部は下川辺出張陣屋が担当しました。また、八神毛利氏の預地や信楽代官所管の地域もあり、美濃国内の幕府領全てを管轄していたわけではありません。

関ヶ原の戦いの後、幕府は美濃国に有力な大名が出現するのを防ぐため、10万石未満の多数の藩と幕府直轄領に分割しました。その結果、美濃国の約3割が幕府直轄領となりました。

美濃郡代の陣屋

当初、美濃郡代の陣屋は、1604年（慶長9年）に小早川秀秋の家臣である平岡頼勝が築いた徳野陣屋（現在の岐阜県可児市徳野）に置かれました。平岡頼勝は徳野藩1万石の大名でしたが、子の死後、徳野藩は取り潰されました。

1650年（慶安3年）には、岡田善政が木曽川の堤防工事のため、交通の便が良い羽栗郡傘町に仮陣屋を置きました。そして、1669年（寛文2年）に名取長知が正式に傘町に陣屋を移し、地名を笠松と改めました。以後、明治維新まで笠松陣屋が美濃郡代の拠点となりました。

美濃郡代の組織

美濃郡代の配下には、江戸詰め14名、笠松詰め14名の手付、手代がいました。また、水害の多い美濃国を管轄していた関係から、堤方役14名が地役人として置かれ、治水工事の計画や監督、堤防の保護を担当しました。

歴代の美濃郡代

以下に、主な歴代の美濃郡代を列記します。

大久保長安
岡田善同　（慶長18年-寛永8年）
岡田善政　（寛永8年-万治3年）
名取長知　（万治3年-寛文7年）笠松に陣屋を移転
杉田長昌　（寛文8年-天和3年）
甲斐庄正之　（天和3年-貞享2年）
岩手信吉　（貞享2年-元禄12年）
辻守参　（元禄12年-享保3年）以降、滝川貞寧を除き郡代となる
辻守雄　（享保3年-享保20年）在職中病没
井沢為永　（享保20年-元文2年）
滝川貞寧　（元文2年-延享3年）
青木安清　（延享3年-宝暦8年）宝暦治水で二ノ手工区を担当、郡上一揆で処罰
千種直豊　（宝暦8年-明和3年）
千種惟忠　（明和3年-天明6年）
千種鉄十郎　（天明6年-天明8年）失政により遠島
辻富守　（天明8年-寛政3年）
鈴木正勝　（寛政3年-寛政11年）
辻守貞　（寛政11年-文化2年）辻富守の孫、在職中に没
三河口輝昌　（文化2年-文化7年）
滝川惟一　（文化7年-文化11年）
松下堅徳　（文化11年-文政11年）
野田斧吉　（文政11年-天保6年）万寿騒動により召還、江戸への途上で急死
柴田政方　（天保6年-嘉永4年）嘉永元年、加茂郡の一部が移管
岩田信忍　（嘉永4年-慶応3年）文久3年、下川辺陣屋管内が加わる
屋代忠良　（慶応3年-慶応4年）

美濃郡代関連寺院

美濃郡代に関連する寺院として、江月寺（岐阜県羽島郡岐南町）が挙げられます。

参考文献

岐阜県教育会 『濃飛両国通史』 1924年
岐阜県　『岐阜県史』　1968年

関連項目

飛騨郡代

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